非鉄２次製錬業

非鉄２次製錬業の概要

非鉄二次製錬業とは、鉄を原料としない金属の製錬業のことを指します。具体的には、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛などの金属を鉱石や廃金属から精製し、材料として用いられる工業分野のことを指します。

一次製錬業では、鉱石を原料として金属を精製するのに対して、二次製錬業は、すでに存在する金属製品や廃金属を原料として再び金属を精製することを指します。この再利用された金属を再生資源と呼びます。

非鉄二次製錬業は、エネルギー消費量が比較的少なく、二酸化炭素排出量も少ないため、環境負荷が低いとされています。しかし、製錬プロセスには一定のエネルギーが必要であるため、エネルギー源の選択や省エネルギー技術の導入が求められます。

日本の非鉄二次製錬業界は、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛などの金属を製造する分野で、非常に重要な産業の一つです。日本は、自動車や電子機器などの製造に必要な金属をほとんど輸入に頼っているため、非鉄二次製錬業界は、国内で必要な金属を製造し、国内産業を支える役割を担っています。

アルミニウムの製造量では、世界でも有数の国となっており、銅や亜鉛の製造量でも、トップクラスの国の一つです。また、日本の非鉄二次製錬業界は、高い技術力を持ち、省エネルギー技術の導入やリサイクル技術の開発など、環境負荷を低減する取り組みが進んでいます。

ただし、国内産業の減少などにより、需要が低迷している金属もあります。また、エネルギーの高騰や廃棄物処理など、課題もあります。今後は、新技術の導入や、グリーンエネルギーの活用などが求められ、持続的な発展に向けた取り組みが必要とされています。

非鉄二次製錬業の主な製品は、以下の通りです。

【アルミニウム製品】
アルミニウム板、アルミニウム箔、アルミニウムフレーム、アルミニウム窓枠、アルミニウム建材、アルミニウム缶、アルミニウムフレキシブルチューブなど。

【銅製品】
銅線、銅板、銅管、銅箔、銅製管路、銅製配管部品、電子部品、補聴器、家具など。

【亜鉛製品】
亜鉛合金、亜鉛メッキ、亜鉛製シート、亜鉛鉄板、亜鉛圧延板、電気工業用亜鉛粉末など。

【鉛製品】
鉛板、鉛棒、鉛管、鉛シート、鉛宝飾品、鉛充電池、鉛シールドなど。

これらの製品は、自動車、航空機、建築、エレクトロニクス、医療機器、食品缶、包装材料など、多くの産業分野で使用されています。

非鉄二次製錬業の製造工程は、金属の種類や製品によって異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。

金属スクラップやリサイクル素材、銅やアルミなどの純度の高い原料が受け入れられ、種類ごとに仕分けられます。

原料を粉砕し、目的とする粒度に分類します。その後、磁気分離や重力分離、浮遊分離などの方法で、金属以外の不純物を取り除きます。

適切な割合で原料を混ぜ、電気炉や溶解炉で高温に加熱し、溶かします。その後、酸素吹き込みやろ過などの方法で、不純物を除去し、純度の高い金属を得ます。

溶かした金属を、成型用の型に流し込み、冷却して形を作ります。鋳造方法には、砂型鋳造、ダイキャスト、インベストメントキャストなどがあります。

銅やアルミニウムなど、加工性に優れた金属は、延性加工や圧延加工によって板や線、管などの形状に成形されます。

得られた製品に対して、必要に応じて加工や表面処理を施します。これには、切削加工、溶接、メッキ、塗装などがあります。

製品の品質を確認し、検査を行います。良品と判断された製品は、出荷されます。

以下に、2021年時点での日本の非鉄2次製錬業の生産量や輸出入などのデータを示します。

なお、上記のデータは、日本非鉄金属協会が発表している2021年度版「日本非鉄金属協会会報」に基づいています。

日本の非鉄２次製錬業には、以下のような大手企業があります。

これらの企業は、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛などの非鉄金属の２次製錬や、金属スクラップのリサイクルなどを行っています。また、国内だけでなく海外にも進出しており、グローバルな市場で競争力を維持しています。