温度センサー

温度センサーとは?

温度センサーとは、対象の物体・空間の温度を測定し、数値として出力する電子デバイスです。製造業では、製品の加熱・冷却・乾燥工程、設備の異常検知、環境モニタリングなど多岐にわたり活用されています。最近ではIoTとの連携によって、温度変化のリアルタイム監視や自動制御に対応した高度な温度管理が可能となっています。

工場現場での温度管理の重要性

  • 加熱・冷却工程での適正温度の維持による製品品質の確保
  • モーター・ヒーター・炉などの過熱防止による火災・劣化対策
  • 環境温度変化による寸法誤差や加工精度低下の予防
  • 食品・医薬品など温度依存性の高い製品のトレーサビリティ管理

主な使用シーン

  • 射出成形・溶接・焼入れなどの高温工程
  • 冷却水・クーラントの温度監視
  • 冷蔵倉庫・恒温室での環境制御
  • 精密部品の寸法変化を抑えるための周囲温度制御

温度センサーの種類と特徴

タイプ 特徴 用途例
サーミスタ 感度が高く小型。低温域に強い 空調・冷蔵庫・小型装置の温度検出
白金測温抵抗体(Pt100等) 高精度・広範囲測定が可能 恒温制御・精密加熱装置
熱電対(K・J・Tタイプなど) 広温度範囲に対応。応答が速い 炉・ヒーター・溶接ライン
非接触赤外線センサー 対象に触れずに測定可能 高速ライン上のワーク温度測定

導入メリット

  • リアルタイム監視による異常早期発見
  • 自動制御との連携で省エネと品質向上を両立
  • トレーサビリティ確保により顧客への説明責任を果たせる
  • 製造工程の標準化と作業バラツキの是正

導入事例と効果

ある樹脂成形工場では、熱電対による金型温度管理を導入し、樹脂流動性の安定化に成功。外観不良率が従来の5.8%→1.2%に低減し、再加工コストが月30万円以上削減されました。また、温度データの蓄積により、金型劣化傾向の予測も可能となりました。

選定時のチェックポイント

  1. 測定温度範囲(-50℃〜+1500℃など)
  2. 応答速度・精度・出力形式(アナログ/デジタル)
  3. 取付方法(接触/非接触/ネジ固定/磁石式)
  4. 設置環境(防水・耐薬品・耐熱性など)

メンテナンスと運用のポイント

温度センサーは経年劣化・熱衝撃により精度が低下することがあります。定期的な校正(年1回推奨)や、異常検知機能の活用によって、正確な温度管理が継続できます。接触式センサーでは、接点清掃も重要です。

今後の展望

IoTと連携した無線温度センサー、AIによる異常温度の自動診断、クラウドベースの統合温湿度管理システムなど、温度センサーは生産現場の「知能化」の中核に位置づけられています。特に遠隔監視やエネルギー管理との統合により、スマートファクトリー実現への重要なステップとなっています。

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