レーザー距離計とは?
レーザー距離計とは、レーザー光を対象物に照射し、その反射をもとに距離を測定する電子計測機器です。瞬時かつ高精度に測定できるため、建設業・製造業・設備保守・測量業務など、幅広い現場で使用されています。近年では、手のひらサイズの小型タイプから、Bluetooth連携や3D測定に対応した高機能モデルまで多様な機種が登場しています。
レーザー距離計の測定原理
レーザー距離計は、発光部から発射されたレーザー光が対象物に当たり、その反射光が戻ってくるまでの時間(TOF:Time of Flight)をもとに距離を算出します。光の速度を用いた測定であるため、数メートル〜数百メートルの範囲でも高精度な測定が可能です。
主な使用シーン
- 設備の設置場所・寸法測定(工場・プラント)
- 倉庫・作業場の面積・高さ確認
- 建屋の図面作成・現場スケッチ時の寸法取得
- 部品や金型の段差・奥行・高さ測定
- リフトやクレーンの安全距離確認
レーザー距離計の種類と特徴
タイプ | 特徴 | 用途例 |
---|---|---|
手持ち型(小型) | 軽量・操作が簡単で屋内向き | 内装工事、レイアウト確認 |
長距離対応型 | 最大200m以上の測定が可能 | 屋外工事、物流倉庫、構造物測定 |
Bluetooth連携型 | スマホ・PCとデータ共有可能 | 記録保存・図面連携業務 |
2軸・3軸傾斜センサー付き | 角度補正により高精度測定が可能 | 天井・階段など傾斜面の測定 |
導入メリット
- 最短0.5秒程度で測定完了。作業時間を大幅削減
- 危険エリアに立ち入らずに非接触測定が可能
- 長距離でも高精度な測定が可能(±1.5mmなど)
- 寸法メモの手書きミスや読み間違いを防止
導入事例と効果
ある食品工場では、レイアウト変更に伴い、設備間距離や天井高をレーザー距離計で測定。従来のスケール・巻尺を用いた2人作業が1人で完結できるようになり、測定時間を約70%短縮。安全性も向上し、事故リスクを未然に防止しました。
選定時のチェックポイント
- 測定範囲と精度(例:0.05〜100m、±1.5mm)
- 屋外/屋内での使用環境(太陽光耐性、防塵防水)
- 角度センサー・Bluetoothなどの機能搭載有無
- 画面の視認性・バッテリーの持続時間
使用上の注意点
鏡面やガラス、黒くて反射の少ない対象物にはレーザーが反射しにくく、誤差が出る場合があります。正確な測定には、専用ターゲット板や照射角度の工夫が必要です。また、落下・衝撃によるセンサーのズレにも注意が必要です。
今後の展望
3Dスキャナ型や点群データ対応モデルなど、レーザー距離計は「計測」から「空間認識」へと進化しています。AR技術やBIM連携とも組み合わせ、製造・建設・メンテナンス現場での効率化に貢献する、次世代測定ツールとして注目が高まっています。