塗料製造業

化学工業

塗料製造業の概要

塗料製造業とは、建築や自動車、家具、電子製品などの様々な産業で使用される塗料を製造する産業のことです。塗料は、表面を保護したり、美観を向上させたり、色をつけたりするために使用されます。

塗料製造業では、様々な種類の塗料が製造されており、一般的な塗料には、油性塗料、水性塗料、エポキシ塗料、アクリル塗料、シリコン塗料、ウレタン塗料などがあります。また、特殊な用途のために、防水塗料、防錆塗料、耐火塗料、光沢塗料、断熱塗料などが製造されています。

塗料製造業は、環境に配慮した製品の開発や、塗料の安全性、品質管理などに取り組んでいます。また、製造工程や廃棄物処理などにおいても環境保護に配慮した取り組みを行っています。

日本の塗料製造業について

日本の塗料製造業界は、世界的にも大きな規模を持ち、高い技術力や品質管理が評価されています。以下に日本の塗料製造業界についての特徴をいくつか挙げてみます。

【世界有数の製造量】
日本の塗料製造業界は、世界有数の製造量を誇っています。2020年の生産量は約320万トンで、世界市場の約11%を占めています。

【約200社の企業が参入】
日本の塗料製造業界には、約200社の企業が参入しています。大手メーカーには、日本ペイント、三菱ケミカル、東洋化成、関西ペイントなどがあります。

【高い技術力と品質管理】
日本の塗料製造業界は、高い技術力と品質管理が評価されています。特に、自動車や建築分野で使用される塗料の品質は、世界的に高く評価されています。

【環境配慮の取り組み】
日本の塗料製造業界は、環境配慮の取り組みに力を入れています。製品の開発や製造プロセスにおいて、環境に配慮した取り組みを進めています。

【海外展開】
日本の塗料製造業界は、海外展開にも力を入れています。海外市場での需要が高い製品や、現地生産を行うことで市場進出を進めています。特に、アジアや中東地域においては、需要の増加が見込まれています。

主な製品

塗料製造業の主な製品には、以下のようなものがあります。

  • 油性塗料
  • 油脂や樹脂を主原料として製造され、木材や金属などの表面に塗布されます。建築物や車両、船舶などに使用されます。

  • 水性塗料
  • 水を主原料として製造され、環境にやさしい製品として注目されています。建築物や家具、玩具などに使用されます。

  • エポキシ塗料
  • エポキシ樹脂を主原料として製造され、耐久性や耐薬品性に優れています。自動車、鉄道車両、橋梁などに使用されます。

  • アクリル塗料
  • アクリル樹脂を主原料として製造され、光沢や耐候性に優れています。建築物や自動車、電子機器などに使用されます。

  • ウレタン塗料
  • ポリウレタン樹脂を主原料として製造され、耐久性や耐候性に優れています。自動車、家具、フロアなどに使用されます。

  • 防水塗料
  • 建築物や橋梁、地下鉄などの構造物の防水効果を高めるために使用されます。

  • 防錆塗料
  • 金属製品や構造物の錆を防止するために使用されます。

  • 断熱塗料
  • 建築物の断熱性能を向上させるために使用されます。

製造工程

塗料製造業の一般的な製造工程は以下のような流れになります。

  1. 原材料の調達
  2. 塗料の原材料として、樹脂、顔料、溶剤、添加剤などがあります。これらの原材料を調達します。

  3. 混練
  4. 混練機に原材料を投入し、機械的に混ぜ合わせます。この工程で、樹脂や顔料を均一に分散させることが目的です。

  5. 粉砕
  6. 混練された原材料を、ボールミルなどの装置で粉砕します。これにより、より均一な微粒子状態になります。

  7. 逆分散
  8. 粉砕された原材料を、逆分散機に投入します。逆分散機は、高速回転する刃で混ぜ合わせることで、微粒子を分散させる役割があります。

  9. 仕上げ調整
  10. 逆分散された原料に、必要に応じて溶剤や添加剤を加え、仕上げ調整を行います。

  11. 充填・容器詰め
  12. 製品としての塗料が完成したら、充填機を使って容器に詰めて出荷準備を行います。

なお、製品によっては上記の流れに加え、乾燥や硬化などの工程が必要となる場合もあります。また、各工程において品質管理を徹底し、安全性・品質の確保に努めます。

国内データ

日本の塗料製造業に関する主な統計データを以下に示します。

  • 生産量
  • 2020年の生産量は約2,398,000トンであり、前年比では-3.8%となっています。
    (出典:総務省統計局「工業統計調査」)

  • 出荷額
  • 2020年の出荷額は約2兆6,963億円であり、前年比では-6.2%となっています。
    (出典:総務省統計局「工業統計調査」)

  • 雇用者数
  • 2020年の従業員数は約69,000人であり、前年比では-2.8%となっています。
    (出典:総務省統計局「労働力調査」)

  • 輸出入額
  • 2020年の塗料製品の輸出入額は、輸出が約1,195億円、輸入が約524億円であり、輸出入差額は約671億円となっています。
    (出典:財務省「貿易統計」)

なお、上記のデータは2021年9月時点で公表されている最新のものであり、今後変化する可能性があります。

主な企業

日本には多数の塗料メーカーがありますが、その中でも代表的な企業を以下に紹介します。

  1. 日本ペイント株式会社
  2. 株式会社三菱マテリアル
  3. 住友化学株式会社
  4. ニッペホールディングス株式会社
  5. 昭和電工株式会社
  6. PPG工業株式会社
  7. アサヒペン株式会社
  8. 大日本塗料株式会社
  9. カネカ株式会社
  10. 東洋合成工業株式会社

これらの企業は、建築用、自動車用、家具用、産業用などのさまざまな分野において、幅広い製品を提供しています。また、グローバルに事業を展開している企業もあり、世界的に有名な塗料メーカーも多数存在します。

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