工業用ゴム製品製造業の概要
工業用ゴム製品製造業は、ゴムを原材料として、様々な製品を製造する産業です。この業界で製造される製品には、自動車のタイヤやベルト、コンベアーベルト、シーリング、ゴムホース、ゴムシートなどがあります。これらの製品は、建設、自動車、航空宇宙、農業、石油、化学、食品、医療などの産業で使用されています。
工業用ゴム製品製造業は、ゴムの加工技術や化学技術に長けた企業が多数存在しており、高度な技術を持つ専門家が多く働いています。製品の品質管理や耐久性の向上にも力を入れており、製品開発にも積極的に取り組んでいます。また、環境に優しい素材の開発やリサイクル技術の研究も進められています。
この業界は、世界中で成長が見込まれており、特に新興国での需要が高まっています。技術の進歩や環境規制の強化によって、製品の品質や環境負荷を抑えた製品の需要も高まっています。
日本の工業用ゴム製品製造業について
日本の工業用ゴム製品製造業界は、世界有数の技術力を誇る産業です。自動車や電子機器などの高度な製造業に対応するため、高品質で精密な加工技術が求められており、その分野での技術開発や品質管理に強みを持っています。
具体的な製品としては、自動車部品に使用されるシール材料、ゴムホース、各種ベルト、ゴムシート、コンベアーベルトなどが挙げられます。また、医療用のゴム製品や環境に優しい素材の開発にも注力しています。
日本の工業用ゴム製品製造業界は、大手メーカーを中心に構成されており、トップメーカーにはブリヂストン、住友ゴム工業、東洋ゴム工業などがあります。これらの企業は、高度な技術力と品質管理を武器に、国内外で幅広い製品ラインナップを展開しています。
さらに、環境に対する意識が高まっていることから、リサイクル技術の研究開発にも取り組んでおり、廃棄物を再利用する製品の開発も進んでいます。
主な製品
工業用ゴム製品製造業の主な製品は以下の通りです。
【自動車タイヤ】
自動車用タイヤは、工業用ゴム製品製造業の中でも最も代表的な製品の1つです。タイヤは自動車の走行性能に大きく影響を与えるため、高品質で耐久性に優れた製品が求められます。
【ゴムホース】
ゴムホースは、自動車や航空機の燃料系統や空調システムなどに使用されます。高い耐圧性や耐久性が求められ、熱や油にも耐性があることが必要です。
【シール材料】
シール材料は、機械や装置の部品の接合部分を密閉するために使用されます。高い耐熱性や耐久性が求められ、自動車や建設機械などに広く使用されています。
【ベルト】
ベルトは、機械や装置の動力伝達に使用されます。自動車のエンジンベルトやコンベアベルトなどが代表的な製品です。
【ゴムシート】
ゴムシートは、建設機械や船舶、電気機器などの保護材として使用されます。高い耐久性や防水性が求められます。
【コンベアベルト】
コンベアベルトは、産業用の運搬システムに使用されます。耐久性が求められるため、様々な材質のゴム製品が使用されます。
その他、医療用のゴム製品や環境に優しい素材の開発にも注力しており、様々な製品が開発されています。
製造工程
一般的な工業用ゴム製品製造業の製造工程は以下のようになります。
- 材料の準備
- 成形
- 硫化
- 仕上げ
- 検査
ゴム製品の原料となる天然ゴムや合成ゴム、添加剤、補強材、色素などの材料を用意します。それぞれの材料は、特定の配合比率で混合され、ミキサーで混練されます。
混練されたゴム材料は、射出成形機、プレス機、カレンダーなどの装置を用いて、所定の形状に成形されます。この際に金型を使用することが一般的です。
成形されたゴム製品は、硫酸塩や過酸化物などの硫化剤を加えた状態で熱処理されます。この処理により、ゴム材料が弾性を持ち、耐久性や耐熱性が向上します。
硫化されたゴム製品は、加工されて仕上げられます。例えば、自動車のタイヤはバランス調整やパターン彫刻が行われ、ゴムホースはカットされ、シール材料は形状加工されます。
最終的に、製品の品質検査が行われます。検査項目には外観検査、寸法検査、強度検査、耐久性検査などがあります。これらの検査に合格した製品は出荷されます。
以上が、一般的な工業用ゴム製品製造業の製造工程です。各工程での品質管理が重要であり、高品質な製品を生産するためには徹底した品質管理が必要です。
国内データ
以下に、日本の工業用ゴム製品製造業の主な統計データを示します。
- 産業連関表によると、2019年の工業用ゴム製品製造業の付加価値は約1兆5,600億円でした。
- 経済産業省の「平成31年度産業動態統計年報」によると、2019年の工業用ゴム製品製造業の生産額は約2兆8,800億円でした。
- 同じく「平成31年度産業動態統計年報」によると、2019年の工業用ゴム製品製造業の従業員数は約41,000人でした。
- 経済産業省の「平成29年度産業連関表」によると、2016年の工業用ゴム製品製造業の輸出額は約1兆4,800億円、輸入額は約1兆5,500億円でした。
- 内閣府の「平成30年度資源エネルギー庁エネルギー白書」によると、2017年の工業用ゴム製品製造業のエネルギー消費量は約33,000キロトンでした。
以上が、日本の工業用ゴム製品製造業の主な統計データです。製造業全体に比べると、規模はやや小さいものの、高付加価値製品を生産していることがわかります。また、輸出にも力を入れており、国際的にも競争力のある産業であることがうかがえます。
主な企業
日本の工業用ゴム製品製造業の主な企業としては、以下のようなものがあります。
- ブリヂストン株式会社
- 住友ゴム工業株式会社
- 東洋ゴム工業株式会社
- 日本ゼオン株式会社
- ミネベアミツミ株式会社
- トーヨータイヤ株式会社
- ダイキン工業株式会社
タイヤや自動車用部品を中心に幅広い製品を取り扱っています。
タイヤや精密機器部品、医療機器などを取り扱っています。
タイヤ、建築資材、防災製品などを取り扱っています。
合成ゴム、特殊化学品、医療材料などを取り扱っています。
ベアリングやモーターなどを中心に幅広い製品を取り扱っています。
タイヤや自動車用部品を中心に幅広い製品を取り扱っています。
シーリング材、防音材、医療材料などを取り扱っています。
上記の企業はいずれも、日本の工業用ゴム製品製造業界において高い技術力と製品力を誇る企業です。