潤滑油製造業

石油製品・石炭製品製造業

潤滑油製造業の概要

潤滑油製造業は、潤滑油や関連する化学品を生産する産業のことを指します。潤滑油は、機械や機器の部品同士の摩擦を減らし、摩耗や磨耗を防止するために使用されます。潤滑油は、自動車、航空機、鉄道、造船、農業機械、建設機械、工場機械など、多くの産業分野で必要とされる製品です。

潤滑油製造業では、潤滑油の原材料として石油、合成油、天然ガス、動植物油などを使用し、独自の製造技術に基づいて、精製、添加剤の混合、充填、検査などのプロセスを行います。潤滑油製造業は、高度な技術と研究開発が必要であり、品質管理や環境対策にも注力しています。

日本の潤滑油製造業について

日本の潤滑油製造業界は、世界有数の製造量を誇り、高品質な製品が多数存在します。以下は、日本の潤滑油製造業界に関するいくつかの特徴です。

【大手メーカー】
日本には、代表的な潤滑油メーカーとして、エクソンモービル、シェブロン、BP、トタルなどの海外メーカーの他に、出光興産、JXTGエネルギー、IOC、富士石油などの大手国内メーカーがあります。

【技術力】
日本の潤滑油メーカーは、高度な技術力を持っており、特に金属加工、自動車、航空機、電子機器などの分野で高品質な製品を提供しています。

【環境対策】
日本の潤滑油メーカーは、環境対策に力を入れています。自然環境への負荷を低減するために、リサイクル製品の開発や燃費向上に貢献する潤滑油の開発などを行っています。

【海外展開】
日本の潤滑油メーカーは、海外展開にも積極的であり、特にアジア地域においては、現地での製造拠点の確立や販売網の拡大などを進めています。

【消費量】
日本国内の潤滑油の消費量は、年間で約600万キロリットル程度であり、自動車用が最も多く、航空機や船舶、重機などの用途でも使用されています。

主な製品

潤滑油製造業の主な製品には以下のようなものがあります。

  • エンジンオイル
  • 自動車やオートバイなどのエンジンに使用する潤滑油です。内燃機関において、ピストンとシリンダーの摩擦を減らし、磨耗を抑え、冷却効果を高めます。

  • ギアオイル
  • 自動車や重機、工場機械などのギアボックスに使用する潤滑油です。ギア同士の摩擦を減らし、歯車の磨耗を防止します。

  • トランスミッションオイル
  • 自動車などのトランスミッションに使用する潤滑油です。変速機やデフなどの部品の摩擦を減らし、磨耗を防止します。

  • ハイドロリックオイル
  • 工場機械などのハイドロリックシステムに使用する潤滑油です。油圧システム内のポンプやシリンダーなどの部品の動きをスムーズにし、磨耗を防止します。

  • トルクコンバーターオイル
  • 自動車や建設機械などのトルクコンバーターに使用する潤滑油です。トルクコンバーター内の部品の動きをスムーズにし、磨耗を防止します。

  • コンプレッサーオイル
  • 工場や空調機器などのコンプレッサーに使用する潤滑油です。圧縮機内の部品の動きをスムーズにし、磨耗を防止します。

  • トラクションオイル
  • 列車や船舶の車輪に使用する潤滑油です。車輪とレールの接触面での摩擦を減らし、摩耗を抑制します。

  • スライドウェイオイル
  • 工作機械のスライドウェイに使用する潤滑油です。スライドウェイ上を滑らせる部品の動きをスムーズにし、磨耗を防止します。

製造工程

一般的な潤滑油の製造工程は以下のような流れになります。

  1. ブレンド(混合)
  2. 原油を調合します。精製されたベースオイルや添加剤を組み合わせ、特定の性質を持つ潤滑油を作り出します。ブレンドの方法は、タンクに原油を投入して、ミキサーや攪拌機を使用して混合する方法が一般的です。

  3. 精製
  4. ブレンドされた原油を高温・高圧で精製します。精製の方法には、加熱した後、過剰な添加剤や不純物を除去するフィルタリング、またはクレーンや重力を利用して、油を分離するデカンテーションがあります。

  5. 加工
  6. 精製された原油に、必要に応じて特定の特性を追加するための加工を行います。この過程で、酸化防止剤、界面活性剤、抗摩耗剤、防錆剤、抗泡剤、着色剤、香料などの添加剤を投入することがあります。

  7. パッケージング
  8. 最後に、製造された潤滑油をパッケージングし、市場に出荷する準備をします。潤滑油は、液体の場合は容器に充填され、固体の場合はタブレット状に成形されたり、チューブに充填されたりすることがあります。また、容器にラベルを貼り付け、商品名や使用法、注意事項などを記載して出荷します。

国内データ

以下は、日本の潤滑油製造業に関する最新の統計データです(2021年現在)。

  • 日本国内での潤滑油の生産量は、年間で約1,000万キロリットル程度です。
  • 2019年度の潤滑油の生産量は、約981万キロリットルでした。
  • 2020年度の輸入量は、約318万キロリットルでした。
  • 2020年度の輸出量は、約60万キロリットルでした。
  • 日本の潤滑油市場規模は、2020年には約2,400億円でした。

また、日本の主要な潤滑油メーカーには、出光興産、JXTGエネルギー、ENEOS、三菱化学、東ソー、イノテック、NOKなどがあります。

主な企業

世界的には、以下のような潤滑油製造企業が知られています。

  1. エクソンモービル
  2. シェブロン
  3. BP
  4. トタル
  5. ロイヤル・ダッチ・シェル
  6. クミュロイル
  7. ペトロナス
  8. イノベーション・グループ
  9. アイシン精機
  10. ジーエスユアサ

日本国内では、以下の企業が主要な潤滑油メーカーとして知られています。

  1. 出光興産
  2. JXTGエネルギー(旧・ENEOS)
  3. 三菱化学
  4. 東ソー
  5. イノテック
  6. NOK
  7. 富士石油
  8. ジャパンエナジー
  9. 住友化学

日本シェル以上の企業は、日本国内でのシェアを競い合っています。

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