表面粗さ測定器とは?
表面粗さ測定器は、製品の表面のなめらかさ(凹凸の程度)を定量的に評価するための測定機器です。
加工品の仕上がり状態や、摩耗・接触面の精度が重要な部品の検査において使用されます。機械加工・金型・自動車部品・医療機器など、多くの業界で品質保証に欠かせないツールです。
なぜ「表面粗さ」が重要なのか
対象物 | 粗さ管理の目的 |
---|---|
摺動部(シャフト・ベアリング) | 摩擦低減・潤滑性の確保 |
接合部・接触面 | 密着性・密封性の確保 |
コーティング前の母材 | 塗装・めっきの密着性向上 |
外観品質が重視される製品 | 仕上がりの評価(触感・見た目) |
表面粗さの指標:RaとRzの違い
- Ra(算術平均粗さ):最もよく使われる指標。平均的な凹凸の大きさ。
- Rz(最大高さ粗さ):突出部と谷の差。局所的な異常も把握しやすい。
製造図面では「Ra 1.6μm以下」などと記載されることがあり、これを満たしているかを測定器で確認します。
測定原理と構造
代表的な表面粗さ測定器(接触式)は、以下のような構造です:
- スタイラス(探針):微細な針で表面をなぞる
- 駆動ユニット:一定速度で直線的に移動
- ピックアップ:上下の動きを電気信号に変換
- 演算ユニット:Ra・Rzなどを自動演算
接触式 vs 非接触式の違い
方式 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
接触式 | 最も一般的。測定値が安定 | 金属加工、量産品の検査 |
非接触式(光学) | 表面を傷つけない、速い | 鏡面、柔らかい素材、微細加工品 |
使い方の基本ステップ
- 測定対象を安定した場所にセット
- スタイラスが対象面に触れる位置を調整
- 測定方向を設定(加工方向と垂直に)
- 測定スタート → 自動で数秒〜数十秒
- RaやRzなどの結果を確認・記録
実際の測定値例(参考)
製品名 | 表面粗さ(Ra) | 測定方式 |
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アルミダイカスト部品 | 3.2μm | 接触式 |
研磨シャフト | 0.4μm | 接触式 |
鏡面加工部品 | 0.05μm | 非接触レーザー |
価格帯と機種の選び方
タイプ | 特徴 | 参考価格 |
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ハンディタイプ(接触式) | 可搬性が高く現場向き | 30万〜80万円 |
スタンド型 | 精密測定・複数条件対応 | 80万〜200万円 |
非接触式(光学) | 高速・高精度だが高額 | 200万〜500万円以上 |
まとめ
表面粗さ測定器は、製品の機能性・信頼性・外観品質を左右する重要な測定機器です。
RaだけでなくRzや他の指標、測定方向や加工状態も踏まえて、正しい評価を行うことが製造品質の安定につながります。
今後ますます重要度が高まる「表面品質管理」の第一歩として、ぜひ導入を検討してみてください。