コンベア

コンベアとは

コンベアは、製品・部品・原材料などの搬送物を、一定方向へ連続または間欠(一定ピッチ)で移動させる搬送装置です。製造ラインの工程間搬送、組立・検査・包装ラインのつなぎ、倉庫や出荷エリアの仕分け搬送などに広く使われます。

人の運搬作業を置き換えるだけでなく、タクトタイムの安定化、仕掛品の見える化、ライン停止の予防(滞留検知)など、工程設計の要となる設備です。

製造業でコンベアが重要な理由

  • 搬送の標準化:人手搬送のばらつきを減らし、品質とリードタイムを安定させる
  • 省人化・省力化:歩行・持ち上げ・台車移動を削減し、付加価値作業へ人員を振り向ける
  • ラインバランス最適化:工程間のバッファ設計がしやすくなり、詰まりや待ちを抑制
  • 安全性向上:重量物運搬やフォークリフト動線を減らし、接触事故リスクを低減
  • トレーサビリティ:センサーやIDと組み合わせ、搬送履歴・滞留・停止理由をデータ化しやすい

コンベアの主な種類と特徴

種類 特徴 向いている搬送物・工程
ベルトコンベア 汎用性が高く、連続搬送に強い。比較的静かで扱いやすい 段ボール、樹脂ケース、小物、食品包装、組立前後の部品
モジュラーベルト(樹脂プレート) 洗浄性・耐薬品性に配慮しやすい。曲線や排水設計も可能 食品・飲料、濡れ環境、衛生管理が厳しいライン
ローラーコンベア(フリーローラー/駆動ローラー) 箱物・パレットなど剛性のある搬送物に強い。重荷重にも対応しやすい 出荷搬送、仕分け、パレット搬送、工程間の箱搬送
チェーンコンベア 耐久性が高く、油や切粉など過酷環境に強い。重量物に向く 自動車部品、金属加工品、熱・油分がある工程
スラットコンベア(板状) 安定性が高く、搬送物の姿勢を保持しやすい 組立ライン、検査工程、治具搭載搬送、搬送中の作業
スクリュー(オーガ)コンベア 粉体・粒体の定量搬送に強い。密閉にしやすい 粉末原料、ペレット、切粉、食品粉体(仕様による)
空気輸送(ニューマ) 配管で搬送でき省スペース。粉体の飛散対策と相性が良い 粉体原料、樹脂ペレット、クリーン搬送(条件による)
オーバーヘッド(天吊り)コンベア 床面を塞がず、工程間を立体的に結べる 塗装ライン、ハンガー搬送、部品の空中搬送
スパイラル/垂直搬送 上下搬送で省スペース。階層間搬送や高さ差に対応 倉庫の階層間、工程の高低差、出荷前の積み上げ

基本構造と周辺機器

  • 駆動部:モーター、ギア、スプロケット、駆動ローラー
  • 搬送面:ベルト、ローラー、チェーン、スラット、治具パレット
  • フレーム:アルミ、スチール、ステンレス(衛生・耐食要件で選定)
  • 制御:インバータ、サーボ、PLC、非常停止、速度同期、ゾーン制御
  • 検知:光電センサー、近接センサー、重量計、画像・バーコード・RFID
  • 付帯設備:ガイド、ストッパ、分岐、合流、整列、バッファ、カバー、集塵

導入メリット

  • 搬送時間の短縮とタクト安定
  • 歩行距離・持ち運び作業の削減による省人化
  • 仕掛品の滞留管理(詰まりの早期検知)
  • 工程間の品質リスク低減(落下、取り違え、置き間違い)
  • 安全性の向上(重量物運搬の削減、通路の整理)

導入時に増えやすい課題

  • 詰まり・滞留:搬送物が不安定、速度設定や合流設計が不適切、バッファ不足
  • 搬送物の傷:ベルト材質やローラー硬度、ガイド形状が不適切
  • 騒音:ローラー衝撃、チェーンの振動、フレーム共振
  • 粉じん・油・水:清掃性や防滴、耐油性の仕様不足
  • 保全負荷:張力調整、摩耗部品交換、潤滑、センサー汚れ

選定のチェックリスト

  1. 搬送物条件:重量、寸法、底面の平滑性、重心、熱、油分、粉じん、濡れ
  2. 搬送要件:搬送速度、距離、高低差、分岐・合流、停止位置精度、バッファ量
  3. 設置環境:温度湿度、衛生要求、薬品、騒音制限、清掃方法、作業者動線
  4. レイアウト:将来の増設、製品切替、段取り替え、ライン変更のしやすさ
  5. 制御連携:上位システム連携、トレーサビリティ、異常時の停止範囲(ゾーン制御)
  6. 保全性:交換部品の入手性、点検スペース、工具、保守契約、復旧手順
  7. 安全:巻き込まれ防止、非常停止、カバー、手指挟み込み、通路との分離

コンベア導入の効果を定量化する考え方

投資判断では、時間削減と品質ロス削減を分けて見積もると評価がブレにくくなります。

  • 作業時間削減:搬送に関わる人時(歩行、運搬、待ち)を前後比較
  • 停止損失削減:詰まり・停滞の回数、復旧時間、ライン停止波及を見える化
  • 不良・破損削減:搬送起因の傷、混載ミス、取り違えの発生率を比較
  • 安全指標:重量物運搬回数、ヒヤリハット件数、通路混雑の変化を記録

スマートファクトリー時代のコンベア運用

近年は、コンベア単体ではなく「ライン全体の流れ」をデータで最適化する運用が増えています。

  • 滞留可視化:ゾーンごとの滞留時間を監視し、ボトルネックを特定
  • 予兆保全:モーター電流、振動、温度、ベルト蛇行、チェーン伸びを監視
  • 自動復帰:軽微な詰まりは自動リトライ、重大異常は停止範囲を限定
  • 識別連携:バーコードやRFIDで搬送物と工程実績を紐づけ

安全対策と運用ルール

  • 巻き込まれ・挟まれ対策:危険部位のカバー、ガード、非常停止の適切配置
  • 清掃・点検手順:停止確認、ロックアウトの手順、再起動時の確認項目を標準化
  • 通路設計:人と搬送の交差点を減らし、必要な箇所は信号・ゲートで制御
  • 教育:起動停止、詰まり復旧、異常時エスカレーションの訓練

よくある質問(Q&A)

Q1. ベルトコンベアとローラーコンベアはどう選べばよいですか?
A1. 搬送物の底面が安定していて連続搬送したい場合はベルトが扱いやすいです。箱物やパレットなど剛性のある搬送物で、重荷重やゾーン搬送(区間ごとの停止)を重視する場合はローラーが適しています。
Q2. コンベアの詰まりが多い原因は何ですか?
A2. 合流設計の不足、速度設定の不整合、搬送物の姿勢不安定、ガイド形状不適合、バッファ不足が代表的です。まず滞留箇所と発生条件を記録し、再現性の高い原因から潰すと改善が早いです。
Q3. 省スペース化したい場合、どの方式が有利ですか?
A3. 天井を使えるならオーバーヘッド、上下搬送が必要ならスパイラルや垂直搬送が有効です。床面を広く使えない場合は、分岐合流やバッファを立体配置する設計が効果的です。
Q4. コンベアはどのくらいの頻度でメンテナンスが必要ですか?
A4. 使用環境と稼働率で変わりますが、日常点検(異音、蛇行、異物、センサー汚れ)と、定期点検(張力調整、摩耗部品、潤滑、締結確認)を分けて運用するのが一般的です。粉じんや油が多い現場ほど点検頻度を上げると故障が減ります。
Q5. コンベアとAGV/AMRの違いは何ですか?
A5. コンベアは「決まったルートを高速・安定搬送」するのが得意です。AGV/AMRは「ルート変更や多品種変動に柔軟」ですが、交通制御や待ちが発生することがあります。工程が固定で流量が多いならコンベア、レイアウト変化が大きいならAGV/AMR、または併用が検討しやすいです。

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