硬度計とは?
硬度計とは、材料や製品の表面硬さを測定する装置です。硬さは「変形しにくさ」を示す重要な機械的性質であり、金属、樹脂、ゴムなどの材料の品質評価、製造工程での受入検査や熱処理後の確認などに用いられます。試験方式により、様々な種類の硬度計が存在します。
主な使用シーン
- 金属部品の焼入れ・焼戻し後の硬度測定
- ゴムや樹脂成形品の品質検査
- コーティング・メッキの硬さ比較
- 材料研究・試作段階での物性評価
代表的な硬度測定方式
方式 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
ブリネル硬度(HB) | 大きな球で押し込む方式。大きな面積に適用 | 鋳鉄・非鉄金属 |
ロックウェル硬度(HR) | 簡便かつ高速。最も広く使われる | 鉄鋼、合金、樹脂 |
ビッカース硬度(HV) | 微小部・薄板も対応。顕微鏡で測定 | コーティング、電子部品 |
ショア硬度(HS) | ゴム・樹脂の反発力を利用 | ゴム、ウレタン |
測定の流れ(例:ロックウェル硬度)
- 試料を水平にセット
- 予圧(10kgf)をかけて基準点を設定
- 主荷重(60〜150kgf)を加えて硬さを測定
- 荷重除去後のへこみ深さから硬度値を演算
導入事例と効果
ある機械部品メーカーでは、毎ロットの焼入れ後にロックウェル硬度を測定。管理基準外の製品流出を防ぎ、クレーム発生率を70%以上削減。品質保証プロセスの信頼性が向上しました。
選定時のチェックポイント
- 対象材質(鉄、非鉄、樹脂、ゴムなど)
- 測定部位の大きさ・形状
- 対応する硬度スケールの種類
- 据置型/ハンディ型の運用スタイル
今後の展望
非接触・レーザー方式や自動化装置との統合により、硬度計はスマートファクトリー化に対応した設備へと進化。工程内での自動硬度検査やクラウドによる品質データ管理など、さらなる活用の幅が広がっています。