三次元測定機とは?
三次元測定機(CMM:Coordinate Measuring Machine)とは、製品の形状・寸法・位置関係をX・Y・Zの3軸方向で正確に測定する装置です。
ノギスやマイクロメーターでは対応できない複雑形状や高精度寸法の測定が可能で、自動車・航空・金型・精密部品など、精度が重視される分野で広く活用されています。
なぜ三次元測定機が必要なのか?
課題 | 従来の測定器 | 三次元測定機 |
---|---|---|
複雑な形状の測定 | 複数工具で分割測定 | 1台で一括測定が可能 |
幾何公差の評価 | 困難・手間がかかる | 自動でデータ抽出 |
測定結果の記録と比較 | 手書きやExcel管理 | ソフトで自動保存・解析 |
測定の仕組み
三次元測定機は、以下の要素で構成されます:
- 測定テーブル:製品を固定するための台
- プローブ:接触型または非接触型で寸法を取得
- XYZ軸制御システム:プローブを空間的に移動させる
- 測定ソフトウェア:3D CADと連携し、形状比較や検査成績出力
三次元測定機の種類
タイプ | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
ブリッジ型 | 汎用性が高く安定性も良好 | 部品検査全般 |
ガントリー型 | 大型製品向け、高剛性 | 自動車ボディ・金型など |
アーム型 | 可搬性に優れ、現場向き | 現場測定・簡易スキャン |
非接触型(レーザー・光学) | 形状のスキャンに強い | 成形品・樹脂・医療部品など |
導入によるメリット
- 測定時間の短縮:従来30分 → 5分以下に
- 人による誤差の排除:自動化で安定した精度
- 検査成績書の自動出力:品質保証の効率化
- CADデータとの比較解析:モデリングミスの早期発見
導入事例(中小企業)
例1:金型部品メーカー(従業員30名)
- 従来:ノギス+投影機で25分/件 → CMM導入後:6分
- 測定者のスキル依存度を大幅に低減
例2:樹脂成形品メーカー
- 非接触レーザータイプ導入により、破損リスクゼロで精密スキャンが可能に
価格帯と導入のポイント
タイプ | 価格帯(参考) | 備考 |
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小型ブリッジ型 | 約300〜600万円 | 中小企業向け、補助金対象例あり |
中型・大型モデル | 800万〜数千万円 | 車体や金型の検査に対応 |
非接触式(レーザー) | 500〜1,000万円 | 高速スキャン・リバースエンジニアリングにも |
まとめ
三次元測定機は、複雑形状・高精度製品を扱う現場の品質保証における「最終兵器」ともいえる存在です。
導入ハードルは高めですが、測定精度・作業効率・信頼性を飛躍的に向上させる投資として、中小企業でも積極的な導入が進んでいます。
補助金制度やレンタルプランの活用なども視野に入れつつ、まずは一度、その効果を体感してみてはいかがでしょうか。