作業台車(棚付き)

作業台車(棚付き)とは?

作業台車(棚付き)とは、製造現場や物流倉庫などで、部品や工具を載せて移動できるキャスター付き台車に、複数段の棚を備えた構造の台車です。棚ごとに部品やツールを分類しながら効率的に運搬できるため、作業のムダ取り、段取り作業の迅速化、ピッキングの効率向上など、幅広い用途で活用されています。

なぜ棚付きが重要か?

棚付き台車は、「運ぶ+整理する」を同時に実現できるため、搬送と作業準備を兼ねた運用が可能です。棚の段ごとに部品や工具、仕掛品を分類できるため、作業工程に応じたレイアウト設計がしやすく、段取り替えやライン供給の効率を大きく改善します。

主な使用シーン

  • 部品組立現場での段取り・部品供給用
  • 製造ラインへの仕掛品・工具の運搬
  • ピッキング作業・検品・梱包工程の作業支援
  • 工程間の部材・治具の循環搬送
  • メンテナンス作業時の工具整理+移動台として

作業台車(棚付き)の種類と特徴

タイプ 特徴 用途
メタルラック式 網棚で通気性あり。軽量&コストパフォーマンス◎ 軽量部品の仕分け・保管
フラット棚式 樹脂・スチール製の平棚。中量~重量物向け 工具や仕掛品の搬送
傾斜棚付き 前面に傾いた棚で取り出しやすい ピッキング・流動パーツ供給
3段・4段カスタム型 棚高さや段数を自由に調整可能 工程別/作業者別の区分保管

導入メリット

  • 作業に必要な部品・工具を「一式移動」できる
  • 段取り作業の短縮、工程切替時間を削減
  • 作業動線の短縮・人の移動量を減らす
  • 5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動との親和性が高い

導入事例と効果

ある精密部品メーカーでは、各工程に棚付き作業台車を導入し、段取り時間を平均8分→2分に短縮。ピッキング作業の導線も25%短縮され、生産効率が全体で15%向上。また、工具の紛失・取り違えも激減し、標準化推進の一環としても評価されています。

選定時のチェックポイント

  1. 積載物の重量・寸法に応じた棚耐荷重とサイズ
  2. 棚板の材質(樹脂/スチール/ステンレス)と耐久性
  3. キャスターの材質・ロック機能(ウレタン・ゴムなど)
  4. 作業導線との干渉(幅/旋回半径/段数)

使用上の注意点

上段に重量物を置くと転倒リスクが高まるため、重い部品は下段、軽い部品は上段に配置するのが基本です。また、キャスターの劣化・歪みにより直進性が損なわれる場合もあるため、定期的な点検・グリスアップが必要です。

今後の展望

今後はRFIDやQRコード連携による「スマート棚台車」や、自動追従・AGV搭載型への展開も進んでいます。多品種・少量・変種変量生産が求められる現代の製造現場では、台車も単なる搬送ツールではなく「移動型作業ステーション」としての進化が期待されています。

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