スループットとは?
スループット(Throughput)とは、「一定期間内に完了した業務や処理量」を意味し、製造業では単位時間あたりに出荷された製品数やライン全体の処理能力を指す言葉として使われます。
単なる作業スピードではなく、出力の最終成果(出荷・完了)に焦点を当てた指標です。
スループットの定義と数式
製造現場でのスループットは以下のように定義されます:
スループット = 単位時間あたりの出荷製品数(個/時間)
たとえば、1時間に80個の製品を完成・出荷している場合、スループットは「80個/時間」となります。
関連する指標との違い
指標 | 意味 | 対象 |
---|---|---|
スループット | 出荷された完成品の数量 | ライン全体の実効処理量 |
サイクルタイム | 1個あたりの処理時間 | 単一工程または作業単位 |
稼働率 | 機械の運転時間比率 | 設備単体 |
スループット向上のメリット
- 製品のリードタイム(納期)短縮
- 在庫回転率の改善
- 設備投資の回収スピード向上
- 生産性の定量的可視化が可能
具体例と改善効果
例:Aラインのスループットが1時間あたり60個だったが、工程の見直しにより80個に改善された場合:
項目 | 改善前 | 改善後 |
---|---|---|
スループット | 60個/時間 | 80個/時間 |
1日(8時間)の出荷数 | 480個 | 640個 |
→ 生産量が約33%アップし、納期短縮・売上向上に直結します。
制約理論(TOC)とスループット
スループットは「制約理論(TOC:Theory of Constraints)」の中核指標としても知られています。TOCでは以下の3要素を管理指標としています:
- スループット:売上を生み出す速度
- 在庫:売上に貢献する資産
- 業務費用:スループットを生み出すための支出
TOCでは、ボトルネック工程を特定・改善し、ライン全体のスループットを最大化することが目的となります。
日本の製造業における平均スループット例
スループットの目標値は業種や製品により異なりますが、参考までに以下に例を示します:
業種 | 平均スループット | 備考 |
---|---|---|
電子部品組立 | 90~120個/時間 | 小型・短サイクル品 |
自動車部品製造 | 40~70個/時間 | 大型ライン・溶接工程含む |
食品加工 | 200~500個/時間 | 高速包装ライン |
まとめ
スループットは、「実際に出荷された成果」を定量的に測ることで、真の生産性を評価できる重要な指標です。改善活動の成果を評価する際にも活用できるため、タクトタイムやサイクルタイムとあわせて活用することで、より高度な現場マネジメントが可能となります。