トルクレンチとは?
トルクレンチは、ネジやボルトを「決められた強さ(トルク)」で締め付けるための工具です。
自動車・機械組立・設備メンテナンスなど、「締めすぎ」や「緩み」による不具合を防ぐために使用されます。
なぜトルク管理が重要なのか
不適切な締付け | 起こるトラブル |
---|---|
締めすぎ | ネジ山の破損/部品の変形・割れ |
締め不足 | 緩み/振動による脱落・漏れ |
設計図面に「締付トルク=30N・m ±10%」などと指定がある場合、トルクレンチを使って正確に管理する必要があります。
トルクレンチの構造と仕組み
- グリップ部:トルクの設定ダイヤルがある
- ラチェットヘッド:スパナやソケットで締付け対象と接続
- 機械式クラッチ:設定トルクに達すると「カチッ」と音がする(プリセット型)
主な種類と特徴
種類 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
プレセット型 | 最も一般的。「カチッ」で合図 | 自動車整備・製造ライン |
デジタル型 | トルク値が数値で表示・記録 | 高精度要求のある現場 |
ダイヤル型 | 針でリアルタイムにトルクを確認 | 研究・検査用途 |
使い方の基本ステップ
- 必要トルク値を設定する
- 対象にソケットを装着
- 垂直方向にトルクレンチを持ち、ゆっくり力を加える
- 「カチッ」音または数値到達で止める
- ※ 締め直し禁止。測定値がずれるため
選定の目安(トルク範囲)
トルク範囲 | 使用例 |
---|---|
5〜25 N・m | バイク・精密機器 |
20〜100 N・m | 自動車・設備機器 |
100〜300 N・m | 大型車両・構造物 |
注意点と管理方法
- 使用後は最低トルクに戻す(バネ劣化防止)
- 年1回以上の校正推奨(ISOや顧客監査対応)
- 力をかけすぎない(オーバートルクの原因)
価格帯の目安
- プレセット式:5,000〜15,000円
- デジタル式:15,000〜40,000円
- 高精度・大型用:50,000円以上
まとめ
トルクレンチは、締結の信頼性を保証する必須工具です。人の感覚に頼らず、数値で「適正トルク」を管理することで、不良や事故の未然防止につながります。
現場の安全・品質を守る第一歩として、用途に応じた適切なトルクレンチの選定・活用が求められます。