船舶用機関製造業の概要
船舶用機関製造業は、船舶に搭載されるエンジンやプロペラなどの動力装置を製造する産業です。船舶用機関は、大型貨物船やタンカー、クルーズ船、フェリー、漁船、海洋調査船、軍艦など様々な種類の船舶に搭載されています。
船舶用機関は、高い出力と長い寿命を持ち、海洋環境に耐えうるように設計されています。また、燃料の効率や環境負荷の低減などの要求もあります。そのため、船舶用機関製造業は、高度な技術力を持った企業が集積しています。主な製造国は日本、韓国、中国、欧州などです。
日本の船舶用機関製造業について
日本の船舶用機関製造業界は、高い技術力と品質で世界的に高い評価を得ています。主要企業としては、三菱重工業、川崎重工業、住友重機械工業、日立造船、神戸製鋼所などが挙げられます。
これらの企業は、世界中の様々な船舶メーカーや船主から注文を受け、様々な種類の船舶用機関を製造しています。また、環境規制に対応した低排出船舶用機関の開発にも力を入れています。
日本の船舶用機関製造業界は、厳しい国際競争の中で、高品質・高付加価値製品の開発・製造に取り組んでいます。また、デジタル技術を活用したIoT化やAIの導入により、より効率的な製造プロセスを追求しています。
主な製品
船舶用機関製造業の主な製品には、以下のようなものがあります。
【ディーゼルエンジン】
主に貨物船や大型客船、クルーズ船などに搭載されるエンジンで、高い出力と燃費性能を持ちます。
【ガスタービンエンジン】
高速艇や軍艦などの高速船に搭載されるエンジンで、高い出力と速度性能を持ちます。
【ディーゼル発電機】
船舶の電力を供給するために使用されるエンジンで、主に貨物船やタンカー、フェリーなどに搭載されます。
【スクリュープロペラ】
船舶の進行を助けるために使用されるプロペラで、主に貨物船や客船、タンカー、フェリーなどに搭載されます。
【スラスター】
船舶の操舵性を向上させるために使用される推進器で、主に大型客船やクルーズ船、タンカーなどに搭載されます。
これらの製品は、船舶の種類や用途に応じて異なります。また、各企業が独自の技術を持ち、製品の特長や性能も異なります。
製造工程
船舶用機関製造業の製造工程は、以下のような手順で行われます。
- 設計
- 材料調達
- 加工
- 組み立て
- 試運転・納品
顧客の要望や船舶の仕様に基づいて、船舶用機関の設計が行われます。CADやCAEなどの設計支援ツールを使用して、詳細な設計図が作成されます。
製品に必要な部品や材料を調達します。材料は高い品質が求められるため、品質管理に特に注意が払われます。
部品を製造するために、切削加工や溶接などの加工作業が行われます。機械加工や熱処理なども必要に応じて行われます。
部品を組み立て、完成品に仕上げます。完成品の品質を確保するため、各部品の寸法や形状、性能などを細かく検査し、不良品は交換します。
製品の性能や安全性を確認するため、試運転が行われます。試運転に合格した製品は、納品されます。
船舶用機関は、船舶の命とも言える重要な装置であるため、高品質・高信頼性の製品を生産することが求められます。それを実現するため、製造工程全体にわたり、厳格な品質管理や検査が行われます。
国内データ
以下に、日本の船舶用機関製造業の国内データを示します。
- 船舶用機関製造業の売上高(2021年度)
- 船舶用機関製造業の従業員数(2020年度)
- 船舶用ディーゼルエンジン市場規模(2020年度)
- 船舶用エンジンの輸出入額(2021年度上半期)
約1兆3,600億円
(日本船舶機械工業会調べ)
約16,000人
(日本船舶機械工業会調べ)
約3,800億円
(富士経済調査)
輸出額:約240億円
輸入額:約130億円
(財務省貿易統計)
日本の船舶用機関製造業は、長年の技術力と品質管理の高さが評価され、世界中の船舶メーカーから需要があります。近年は、環境に配慮した省エネルギーや低排出ガスのエンジン開発にも力を入れており、グローバルな競争に対応するためにも、技術革新や研究開発への投資が求められています。
主な企業
船舶用機関製造業の主な企業には、以下のような企業があります。
- 三菱重工業株式会社
- 川崎重工業株式会社
- 日立造船株式会社
- 住友重機械工業株式会社
- ヤンマー株式会社
- 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
- ダイハツディーゼル株式会社
- 神戸製鋼所株式会社
- 新潟三菱重工業株式会社
- 株式会社小松製作所
これらの企業は、船舶用エンジンを中心に、さまざまな製品を提供しています。多くの企業が高い技術力と品質管理を誇り、国内外の顧客から高い評価を受けています。