飼料・肥料製造業

飲料・たばこ・飼料製造業

飼料・肥料製造業の概要

飼料・肥料製造業は、家畜や家禽、ペット、野生動物などに与える飼料や、農作物の生産を支援するために使われる肥料を製造する産業のことを指します。

飼料は、動物たちが必要とする栄養素を含んだエネルギー源であり、肥料は、植物たちが成長するために必要な栄養素を含むものです。飼料・肥料製造業は、農業や畜産業を支える重要な役割を果たしており、食料の生産に欠かせない産業となっています。

また、環境保護の観点から、環境にやさしい有機肥料や、農薬を使用しない自然栽培用の飼料・肥料の需要も高まっています。

日本の飼料・肥料製造業について

日本の飼料・肥料製造業界は、農業や畜産業の発展に欠かせない産業として、長年にわたって重要な役割を果たしてきました。以下に、日本の飼料・肥料製造業界に関する情報をいくつか紹介します。

【飼料製造業界】
日本の飼料製造業界は、生産量・売上高ともに世界有数の規模を誇っています。飼料の生産量は、家畜飼料を中心に、年間約1,500万トン程度であり、このうち豚・鶏などの家畜飼料が最も多く生産されています。また、最近では、ペットフードの需要も増加しており、犬や猫などのペット用飼料の生産量も増加傾向にあります。

【肥料製造業界】
日本の肥料製造業界は、化学肥料の生産量が世界有数であり、また、有機肥料や微生物肥料の生産量も増加しています。有機栽培の普及などにより、環境にやさしい肥料の需要が高まっており、有機肥料の生産量は近年増加傾向にあります。

【産業構造】
飼料・肥料製造業界は、大手企業が中心となって市場を支配しています。飼料製造業界では、日本の飼料市場の3分の2以上を占める3社(味の素、日本酵母、日本ペットフーズ)が、肥料製造業界では、日本の肥料市場の3分の2以上を占める3社(JCAM、三菱化学アグロ、チッソ)が市場を支配しています。

【課題】
一方で、日本の飼料・肥料製造業界には、高齢化や労働力不足、国際競争の激化、環境問題などの課題があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響による需給の変化や価格変動も、業界全体に影響を与えています。業界は、これらの課題に対して、技術革新や生産効率の向上、環境に配慮した製品の開発などを進めていく

主な製品

飼料・肥料製造業の主な製品には、以下のようなものがあります。

【飼料製品】

  • 家畜用飼料
  • 豚用飼料、鶏用飼料、牛用飼料、羊用飼料、ウサギ用飼料など

  • ペット用飼料
  • 犬用フード、猫用フード、小鳥用フード、ハムスター用フード、うさぎ用フードなど

  • 水産用飼料
  • 養殖用サケ飼料、トラウト飼料、ハマチ飼料、エビ用飼料、カニ用飼料など

【肥料製品】

  • 化学肥料
  • 窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料など

  • 有機肥料
  • 堆肥、緑肥、油かす、ぼかし肥料など

  • 微生物肥料
  • 菌肥、酵素肥料、微生物発酵液など

  • その他
  • 炭素材、藻類肥料、海藻肥料、骨粉など

これらの製品は、農業や畜産業の生産性向上や環境保護に役立ちます。また、家庭でペットを飼育する人や、趣味で育てる植物にとっても、飼料・肥料製品は重要な役割を果たしています。最近では、安全性や環境に配慮した製品の開発や、健康や美容に効果がある素材を使用した製品の開発も進んでいます。

製造工程

飼料・肥料製造業の製造工程は、一般的に以下のような流れになっています。

【飼料製造工程】

  1. 原材料の受け入れ・検査
  2. 飼料に使用する原材料(穀類、豆類、魚粉、肉粉など)を受け取り、品質の検査を行います。

  3. ミキシング
  4. 原材料を配合し、必要な栄養素をバランスよく含んだ飼料を作ります。

  5. 粉砕
  6. ミキシングした飼料を粉砕し、粒子の大きさを均一にします。

  7. ペレット化
  8. 粉砕した飼料を加熱・加圧してペレット状に成形します。

  9. 乾燥・冷却
  10. ペレット化した飼料を乾燥して水分を除き、冷却して保存性を高めます。

  11. 検査・出荷
  12. 最終製品の品質検査を行い、出荷します。

【肥料製造工程】

  1. 原材料の受け入れ・検査
  2. 肥料に使用する原材料(窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料、堆肥など)を受け取り、品質の検査を行います。

  3. ミキシング
  4. 原材料を配合し、必要な栄養素をバランスよく含んだ肥料を作ります。

  5. 加工
  6. 肥料を細かく粉砕したり、粒子状に成形したりします。

  7. 検査・出荷
  8. 最終製品の品質検査を行い、出荷します。

以上が一般的な飼料・肥料製造業の製造工程になります。原材料の品質管理や製造プロセスの品質管理など、厳密な品質管理が必要な業界でもあります。

国内データ

以下は、日本の飼料・肥料製造業に関するデータです。

【飼料製造業】

  • 飼料生産量(2020年):4,480千トン
  • 飼料生産額(2020年):3兆6,196億円
  • 飼料製造業の企業数(2020年):約1,400社

【肥料製造業】

  • 肥料生産量(2020年):6,124千トン
  • 肥料生産額(2020年):1兆5,011億円
  • 肥料製造業の企業数(2020年):約320社

出典:経済産業省「平成31年産工業統計年報 製造業編」

主な企業

日本の飼料・肥料製造業界には、多くの企業がありますが、主要な企業をいくつか紹介します。

【飼料製造企業】

  1. エフ・シー・シー株式会社
  2. 日本フード&リサーチセンター株式会社
  3. サンメイク株式会社
  4. グリコフィード株式会社
  5. ニチドウ株式会社
  6. ニッカトップフィード株式会社
  7. セレサ株式会社
  8. 東和フィード株式会社
  9. 玄米の里株式会社
  10. ミルミック株式会社

【肥料製造企業】

  1. トーホー株式会社
  2. 住友化学株式会社
  3. 日清紡ホールディングス株式会社
  4. 株式会社タキロン
  5. フジッコ株式会社
  6. アグロカルチャー株式会社
  7. 味の素株式会社
  8. コマツチューブ株式会社
  9. 三菱化学株式会社
  10. 三菱マテリアル株式会社

なお、これらの企業は、国内だけでなく海外にも進出しており、グローバルな飼料・肥料製造企業としても活躍しています。

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