ボルト・ナット製造業の概要
ボルト・ナット製造業とは、ボルトやナットなどの留め具を製造する産業のことを指します。これらの製品は、機械や建築などの多くの産業において必要不可欠な部品であり、高い強度と耐久性が求められます。
鋼材やステンレス鋼などの素材を加工し、熱処理や表面処理などの工程を経て製品を作り出します。これらの製品は、機械加工や建設現場で使用されるほか、自動車や航空機などの輸送機器、家電製品や家具などの製造にも必要な部品となっています。
産業の多様化やグローバル化によって、高品質・高機能・低コストの製品を提供することが求められるようになっています。また、環境への負荷低減や省エネルギー化などの取り組みも進んでおり、製品の安全性や環境負荷に対する配慮が重視されています。
日本のボルト・ナット製造業について
日本のボルト・ナット製造業界は、高い品質や精度、技術力を持つ産業のひとつです。日本は世界有数の自動車産業大国であり、自動車部品には多くのボルト・ナットが使用されます。そのため、自動車用の高品質なボルト・ナットの製造において、日本の製造業界は世界的な競争力を持っています。
また、日本の建設業においても、高品質なボルト・ナットの需要があります。建設現場で使用されるボルト・ナットは、強度や耐久性が求められるだけでなく、施工性や作業効率も考慮されます。日本の製造業界は、これらのニーズに対応するために、品質や機能性に加えて、施工性や作業効率にも配慮した製品を提供しています。
また、日本のボルト・ナット製造業界は、環境に配慮した取り組みにも力を入れています。製品の再利用やリサイクルに加えて、製造工程における省エネルギーや廃棄物削減など、環境負荷を低減するための取り組みが進んでいます。
主な製品
ボルト・ナット製造業の主な製品は以下の通りです。
【ボルト】
機械や建築物、自動車、船舶、航空機などの各種機器の組立に使用される留め具。大きさや形状、材質などが異なる。
【ナット】
ボルトと組み合わせて使用される留め具。ボルトとナットを締結することで、部品を固定する。ボルトと同様に大きさや形状、材質などが異なる。
【ステュッドボルト】
ボルトとナットを使用しない、部品同士を接続する留め具。部品の組み立てや分解を容易にするため、ステュッドボルトを使用することがある。
【ワッシャー】
ボルトやナットの締結面に使用される部品。締結面を保護するため、また締結力を均等に分散させるために使用される。
これらの製品は、様々な業界で使用され、幅広い種類が存在します。また、特殊な形状や機能を持った製品もあり、顧客のニーズに合わせたカスタマイズ製品も多くあります。
製造工程
ボルト・ナット製造業の一般的な製造工程は以下のようになります。
- 材料選定: ボルト・ナットの製造には、高品質な鋼材が使用されます。製品の性能に応じて、材料の種類や強度、耐久性を決定します。
- 材料加工: 鋼材を指定された形状に加工します。ボルトの場合は、先端に加工する「チップ」と呼ばれる部分を作ります。ナットの場合は、内径や外径、高さなどの形状を加工します。
- 熱処理
- 冷却・洗浄
- 切断・整形
- 転造・切削
- 焼入れ
- 表面処理
- 検査
- 出荷
材料に対して、熱を加えることで性能を向上させます。硬さや強度、耐久性などの性能を調整するため、熱処理を行います。
熱処理後、製品を急冷却することで材料の組織を整えます。その後、製品を洗浄して、表面の汚れや残留物を取り除きます。
材料を指定された長さに切断します。また、ボルトの場合は、先端の形状を整えるために、再度加工を行います。
ボルト・ナットの軸部分には、螺旋状の歯が刻まれています。これを転造や切削によって形成します。
軸部分に刻まれた歯に対して、強度を向上させるために、高温で加熱します。
製品表面にコーティングを施したり、表面に凹凸をつけることで、摩擦力を向上させます。
製品の品質を確認するため、外観検査や強度検査、寸法検査などを行います。
品質が確認された製品は、出荷準備を行い、出荷します。
以上が一般的なボルト・ナットの製造工程ですが、製品によっては、工程の内容や順序が異なる場合があります。
国内データ
以下に、日本のボルト・ナット製造業に関する国内データをいくつか紹介します。
- 生産額
- 業者数
- 生産量
- 輸出入額
2021年度のボルト・ナットの生産額は約1,066億円(約10億ドル)であり、前年度比で約7.6%の増加となりました。
出典:経済産業省「平成33年度製造業生産動態統計年報(速報版)」
2020年時点で、日本には約1,100社のボルト・ナット製造業者が存在しています。
出典:日本ボルト締結技術協会「会員数のご案内」
2019年度のボルト・ナットの生産量は、ボルトが約80,300トン、ナットが約39,700トンでした。
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構「鋼製品生産動向調査」
2021年度のボルト・ナットの輸出入額は、輸出が約280億円(約2.6億ドル)、輸入が約210億円(約1.9億ドル)でした。
出典:財務省「貿易統計(財務省タイプ)」
主な企業
日本のボルト・ナット製造業には多くの企業が存在しますが、以下に主な企業をいくつか挙げます。
- 株式会社日本ボルト – 国内最大手のボルト・ナットメーカーであり、自動車、航空宇宙、建設機械、発電機などの分野で使用される高品質なボルト・ナットを製造しています。
- 株式会社大同特殊鋼
- 株式会社ユニファスト
- 株式会社鍛工舎
- 株式会社アイゼン
- 株式会社森精機
- 株式会社ニューフジヤ
自動車用高張力ボルトや航空宇宙向けのチタンボルトなど、特殊鋼材料を使用した高品質なボルト・ナットを製造しています。
自動車部品や家電製品、建築資材など幅広い分野で使用されるボルト・ナットを製造しています。
建設資材、プラント資材、自動車、鉄道車両などに使用される高品質なボルト・ナットを製造しています。
自動車、航空宇宙、建設機械、鉄道車両、発電機などの分野で使用される高品質なボルト・ナットを製造しています。
自動車部品、電子機器、航空宇宙などの分野で使用されるボルト・ナットを製造しています。
自動車、建設機械、鉄道車両、発電機などの分野で使用される高品質なボルト・ナットを製造しています。