カンバン方式とは?
カンバン方式とは、「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ」生産することを目的としたトヨタ生産方式(TPS)における代表的な管理手法の1つです。
作業指示や部品供給のタイミングを「カンバン(看板)」と呼ばれる指示カードによって管理し、ムダを排除したジャストインタイム生産(JIT)を実現します。
カンバン方式の仕組み
生産ラインや部品供給ラインにおいて、後工程が部品を消費した際に、その情報を前工程へ「カンバン」で伝えることで、必要数だけを補充・製造する仕組みです。
以下は典型的な「引き取りカンバン」と「仕掛けカンバン」の例です:
種類 | 役割 |
---|---|
引き取りカンバン | 後工程が前工程から部品を引き取る指示 |
仕掛けカンバン | 前工程が製造を開始するための指示 |
導入効果
- 在庫の最小化(不要な仕掛品や完成品を持たない)
- リードタイムの短縮
- 問題の「見える化」 → 欠品・不良が即時発覚
- 柔軟なライン変更や小ロット対応が容易
かつての問題点とデジタル化
紙のカンバン運用では「紛失・誤記入・伝達遅れ」などの課題もありました。近年では電子カンバン(e-Kanban)やMES(製造実行システム)と連携したリアルタイム運用が進んでいます。
IoTセンサーやバーコードと組み合わせて、カンバンのデジタル化が普及しており、より高精度・スピーディな現場運営が実現されています。
具体例:カンバン方式の運用イメージ
工程 | アクション | カンバンの役割 |
---|---|---|
組立工程 | 部品Aが消費される | 引き取りカンバンで部品供給工程に通知 |
部品供給工程 | 必要数の部品Aを補充 | 仕掛けカンバンで次回供給の準備 |
日本国内での導入状況
2024年の製造業調査(中小企業庁)によると、国内中小製造業の約46%が「一部または全部の工程でカンバン方式を導入済み」と回答しており、今なお高い支持を得ている生産管理手法です。
まとめ
カンバン方式は、現場の在庫最適化・情報の同期化・ムダ排除を目的とした仕組みであり、トヨタをはじめ世界中で成功事例の多い管理手法です。
現代ではデジタル技術との融合により、より柔軟かつ強靭な生産体制を構築する基盤として再評価されています。