耐切創手袋とは?
耐切創手袋(たいせっそうてぶくろ)とは、刃物や金属片などの鋭利なものによる切創(切り傷)から手指を保護するための作業用手袋です。製造業や建設業、ガラス加工、金属加工など、刃物や尖った部品を扱う現場で広く使用されており、労働災害防止の基本装備として重視されています。
主な使用シーン
- 金属プレス・板金加工・金属部品のバリ取り
- ガラス製品の搬送・組立
- 鋭利な刃物を使用する食品加工現場
- 解体作業・スクラップ処理
耐切創手袋の素材と特徴
素材 | 特徴 | 用途例 |
---|---|---|
高強度ポリエチレン(HPPE) | 軽量で柔軟性がありながら高い切創耐性 | 組立・検査工程などの軽作業 |
アラミド繊維(ケブラーなど) | 耐熱性・耐切創性に優れ、高温作業にも対応 | 熱加工・溶接工程 |
ステンレスワイヤー混紡 | 最高レベルの切創耐性を持ち、やや硬め | ガラス・鋭利部品の搬送 |
耐切創レベルの規格
耐切創手袋には国際的な規格として「EN388」があり、切創耐性をA〜Fの6段階で表示します(Fが最も高い)。たとえばEN388レベルFは、直線刃試験で20N以上の荷重に耐える性能を示し、重作業に適しています。日本国内でも同等基準での製品表示が一般化しています。
導入事例と効果
鋼板加工業者では、EN388レベルEの手袋を導入することで、切創による労災件数が年間10件から2件に大幅減少。作業者の安全意識も高まり、定着率向上にも寄与しました。
選定時のチェックポイント
- 作業内容に応じた切創レベル(A〜F)の確認
- グリップ性・通気性・柔軟性とのバランス
- タッチパネル対応や油・水への耐性などの付加機能
- サイズのフィット感と装着時の疲労度
今後の展望
近年では、軽量かつ高耐久な新素材の開発や、手の動きに追従する立体裁断技術の導入により、快適性と安全性を両立したモデルが増加。作業記録やセンサー付きの「スマート手袋」も登場し、手袋が安全管理の一翼を担う時代が到来しつつあります。