CO₂センサーとは?
CO₂センサーとは、空気中の二酸化炭素(CO₂)濃度を計測するためのセンサー装置です。近年では、労働環境の安全性・快適性の指標として、製造業を含む多くの産業現場で導入が進んでいます。高いCO₂濃度は換気不足のサインであり、作業効率や集中力の低下、健康への影響を引き起こすため、空気環境を「見える化」する手段として注目されています。
CO₂濃度と作業環境の関係
一般的に屋内空間のCO₂濃度が1,000ppmを超えると「空気がこもっている」状態とされ、2,000ppmを超えると眠気・頭痛・判断力低下のリスクが生じます。特に密閉された工場や事務所、会議室では換気のタイミングを判断する指標としてCO₂センサーが有効です。
主な使用シーン
- 工場や倉庫内の換気状態モニタリング
- 会議室や休憩室のCO₂濃度管理
- 喫煙室・密閉空間での空気質監視
- 空調制御やエアカーテンとの連動
- スマートファクトリー内の環境データ分析
CO₂センサーの種類と特徴
タイプ | 測定原理 | 特徴 |
---|---|---|
NDIR方式(非分散型赤外線) | 赤外線の吸収量からCO₂濃度を計測 | 高精度・安定性に優れ、産業用途に最適 |
MOS方式 | 金属酸化物によるガス反応で濃度を検出 | 安価・応答性は高いが精度はやや劣る |
ハンディタイプ | 持ち運び可能なポータブル型 | 点検・現場巡回測定に便利 |
据置型(データ記録対応) | 連続測定&記録保存に対応 | 環境モニタリングや改善提案に活用 |
導入メリット
- 「見えない空気環境」を数値で可視化できる
- 適切な換気タイミングが判断でき、感染症・体調不良リスクを軽減
- 空調の過剰運転を抑え、省エネ効果も期待
- 作業者の集中力・判断力維持に貢献
導入事例と効果
ある部品製造工場では、CO₂センサーを設置してCO₂濃度が1,200ppmを超えると換気扇を自動稼働するシステムを導入。作業者の集中力低下によるミスが20%減少し、空調使用の最適化で電力コストも年間8%削減されました。
選定時のチェックポイント
- 測定範囲(例:400〜5,000ppm)と精度(±50ppm程度)
- 表示方式(LED表示/アラート機能/グラフ表示)
- 接続方式(Wi-Fi/Bluetooth/有線出力)
- 他センサーとの連携(温度・湿度・VOCなど)
使用上の注意点
排気口や通風口近くなど気流が偏る場所では正確な測定ができないため、設置場所には配慮が必要です。また、センサーは経年劣化するため、1〜2年ごとの校正・交換が推奨されます。
今後の展望
CO₂センサーは、スマートファクトリーにおける「環境データのハブ」として、今後さらに高度化していくと考えられます。AIによる換気予測、クラウド連携、従業員の健康モニタリングとの統合など、単なる測定ツールから“環境管理インフラ”への進化が期待されています。