トルクメーターとは?
トルクメーターとは、ねじ締めやボルト固定などにおいて「どれくらいの力(トルク)で締め付けられているか」を数値で測定する計測器です。ねじの締め過ぎや緩みを防ぐことで製品の品質を安定させ、作業者間のばらつきをなくす役割を担います。製造業、整備、検査工程などで幅広く利用されています。
なぜトルク管理が重要なのか?
トルク不足は部品の脱落やガタつき、逆に過剰なトルクはねじ破損・製品変形の原因となります。特に製造業においては、トルクは「品質の基礎値」とも言えるため、適切な管理が必須です。トルクメーターを用いることで、客観的かつ再現性のある締付けが実現できます。
主な使用シーン
- 量産工程での締付けトルクチェック
- 整備作業後のトルク確認(自動車・機械)
- ねじ締結工具(トルクドライバー/レンチ)の校正
- 製品出荷前の最終検査工程
- 品質トレーサビリティの記録用
トルクメーターの種類と特徴
タイプ | 測定方式 | 特徴 |
---|---|---|
アナログ型 | 針式表示 | 視認性に優れ、電源不要 |
デジタル型 | 電子式センサー | 数値表示・記録機能あり。高精度測定に最適 |
ピークホールド型 | 最大トルク記録 | 締付け時の最大値確認に対応 |
回転型(インライン型) | 回転中トルクを測定 | モーター・シャフト連動測定に使用 |
導入メリット
- 締付けのばらつきを数値で可視化し、品質安定につながる
- 作業者の技能依存を減らし、標準化が可能に
- トレーサビリティ強化による品質保証体制の向上
- 不具合・クレームの未然防止
導入事例と効果
ある電子機器メーカーでは、製品出荷前のねじトルクチェックにトルクメーターを導入。作業者間で最大25%あった締付け誤差を5%未満に抑制。不良返品率が0.6%から0.1%に低下し、出荷前の品質確認体制も強化されました。
選定時のチェックポイント
- 対象ねじの締付けトルク範囲(例:0.2~5Nm)
- 測定精度(±1%以内が一般的)
- デジタル記録の有無(USB/Bluetooth対応など)
- 表示形式(最大値/リアルタイム/グラフ表示)
使用上の注意点
正確な測定のためには、トルクメーター自体の定期的な校正が必要です。また、ねじの状態(潤滑・再使用・座面摩擦)によってもトルク値に変動が生じるため、作業条件を揃えることも重要です。
今後の展望
今後はトルクメーターもIoT化が進み、無線通信によるデータ共有、AIによる異常検知、クラウド管理による全社的な品質監視といった「トルクの見える化」が実現されていくと予想されます。