工場立地件数の推移と人気地域ランキング【最新統計データ付き】

コラム

工場立地件数の推移と人気地域ランキング【最新統計データ付き】

本記事では、経済産業省が発表している「工場立地動向調査(2023年)」の統計データをもとに、全国の工場立地件数の推移と都道府県別の人気地域ランキングを解説します。産業構造の変化やスマートファクトリー導入、地方創生との関連性もあわせて分析し、今後の立地傾向を読み解きます。

全国の工場立地件数の推移(2013年〜2023年)

以下は過去11年間における日本全国の工場立地件数の推移です。立地件数は年間ベースで、1ha以上の製造業用地を新規に取得した事業所を対象としています。

年(対象年) 工場立地件数(件) 前年比
2013年 961
2014年 1,008 +4.9%
2015年 1,042 +3.4%
2016年 1,062 +1.9%
2017年 1,114 +4.9%
2018年 1,153 +3.5%
2019年 1,168 +1.3%
2020年 947 -18.9%
2021年 986 +4.1%
2022年 1,023 +3.8%
2023年 1,075 +5.1%

出典:経済産業省「工場立地動向調査 2023年確報」より

工場立地件数の推移から見るトレンド

2013年から2019年にかけて工場立地件数は緩やかな増加傾向にありましたが、2020年には新型コロナウイルスの影響で急減しました。その後は回復傾向にあり、2023年にはコロナ前の水準をおおむね回復しています。

この回復には、以下のような背景があると考えられます:

  • 半導体・電子部品などのサプライチェーン再構築
  • 地方分散型の拠点整備(リスク分散)
  • 再生可能エネルギー・EV関連事業の増加

都道府県別 工場立地件数ランキング【2023年】

次に、2023年における都道府県別の工場立地件数ランキングを見てみましょう。

順位 都道府県 立地件数(件) 全国シェア(%)
1位 茨城県 89 8.3%
2位 福島県 71 6.6%
3位 熊本県 65 6.0%
4位 栃木県 58 5.4%
5位 北海道 53 4.9%
6位 愛知県 50 4.7%
7位 群馬県 47 4.4%
8位 宮城県 45 4.2%
9位 静岡県 43 4.0%
10位 広島県 40 3.7%

出典:経済産業省「工場立地動向調査(2023年)」

立地が集中する地域の特徴

2023年のランキング上位を見ると、茨城・福島・熊本・栃木など、必ずしも都市圏ではないエリアが上位を占めています。これらの県には以下のような共通点が見られます:

  • 広大な工業用地の確保が可能(地価が比較的安価)
  • 道路・港湾などのインフラ整備が進んでいる
  • 誘致策(税制優遇、補助金等)を積極展開
  • 人材確保のための教育機関との連携

特に熊本県は、世界的半導体メーカーの進出により注目を集めており、今後も増加傾向が続くと見られます。

工場立地に影響する要因

企業が工場を立地する際には、次のような要因を考慮します:

  • 人材確保(労働市場の質と量)
  • 輸送アクセス(高速道路・港湾・鉄道)
  • 地価・用地価格
  • 電力・水・インフラ供給能力
  • 災害リスク(地震・洪水など)
  • 行政の支援制度

これらの要素をバランスよく備える地域が、今後の人気立地先として浮上してくると予測されます。

スマートファクトリーと立地戦略の変化

近年では、スマートファクトリーやIoT活用により、従来とは異なる立地戦略も見られるようになっています。

  • 都市近郊の中小規模高機能工場(省人化対応)
  • 再生可能エネルギーとセットで立地する脱炭素型工場
  • ノーコードアプリで遠隔管理可能な多拠点分散型モデル

工場立地の価値判断は、「人を集めやすいか」から「設備・通信環境が整っているか」へと軸足が移りつつあります。

まとめ

  • 全国の工場立地件数は2023年に1,075件と回復基調
  • 上位県は茨城・福島・熊本など地方工業エリアが多い
  • 用地確保・補助金制度・物流インフラが立地選定に直結
  • スマート化により「都市近郊・分散型」も新たなトレンドに
  • 今後も地域間競争は激化が予想される

よくある質問(FAQ)

Q:このデータの出典はどこですか?

A:経済産業省「工場立地動向調査(2023年確報)」です。

Q:なぜ都市部より地方が上位に入っているのですか?

A:地価の安さ・用地の広さ・誘致政策の有無が大きな理由です。

Q:半導体関連の工場立地はどこが多いですか?

A:近年は熊本・茨城・三重などが注目されています。

Q:件数にはどのような業種が含まれますか?

A:製造業(日本標準産業分類のE分類)に該当する全業種が対象です。

Q:2024年の速報はありますか?

A:執筆時点では未発表のため、2023年確報のデータを採用しています。

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