茨城県は製造業の事業所数や従業員数、製造品出荷額において全国上位に位置し、幅広い産業構成を持つ「ものづくり県」です。首都圏へのアクセスと港湾インフラにも恵まれた立地で、電子部品、自動車関連、食品・化学が地元経済を支えています。本記事では、そうした茨城県の製造業を定量と質的視点で詳しく解説します。
製造業の基本データ(2022年統計)
指標 | 数値 | 全国順位 |
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製造業事業所数 | 5,692件 | 第16位 |
従業者数 | 275,475人 | 第7位 |
製造品出荷額等 | 13兆6,869億円 | 第7位 |
付加価値額 | 4兆8,119億円 | 第7位 |
(出典:2022年経済構造実態調査・経済センサスより)
市区町村別の出荷額(2022年)
地域 | 製造品出荷額(億円) |
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茨城県全体 | 14兆8,596 |
日立市 | 1,320 |
土浦市 | 952 |
古河市 | 982 |
つくば市 | 453 |
(出典:工業生産統計より)
主な産業分野と地域の強み
- 日立地域:電機・精密・金属系製造の産業クラスターが形成
- つくば地域:研究・科学技術を軸としたベンチャーや精密機器関連が成長
- 食料品製造:事業所数最多の分野で、全体の出荷額第2位の産業構成
(県内製造業統計・立地分析より)
注目企業と製造拠点
- Renesas Electronics(那珂市):自動車用半導体製造の基幹工場を有する
- Iriso Electronics 働県工場(常陸大宮市):クリーンな環境下でハイスピード製造
- 横浜ゴム 茨城工場(小美玉市):高圧ホース・シーリング材の主要生産拠点
- つくば地区:研究成果と結びつく精密技術・産業機器の開発拠点
物流・インフラ基盤
茨城港(大洗・日立・ひたちなかの統合港)は県の産業物流を支える戦略拠点です。太平洋ベルトへの接続や高速道路網との連携が強く、製造拠点の全国輸送において重要な役割を果たしています。
今後の課題と展望
製造業強化の一方で、少子高齢化・人材不足・環境対応(脱炭素・DX化)への対応が喫緊のテーマです。産学官連携やスマート工場化、研究都市エリアとのシナジーによる付加価値向上が期待されます。
まとめ
茨城県は、製造業の規模・産業構成・インフラ・技術力の面で全国屈指のバランスを持つ産業県です。日立やつくば、県南部の食関連を中心に、製造業ポータルとしても非常に魅力的な地域です。