多能工化の進め方

コラム

多能工化とは?

多能工(たのうこう)とは、複数の工程・作業をこなせる技能を持つ作業者のことを指します。

多能工化とは、現場の作業者一人ひとりが複数の業務に対応できるよう育成・仕組み化することであり、人手不足や変種変量生産への対応、現場の柔軟性向上など、製造現場での生産性・安定性の向上に不可欠な施策です。

なぜ今、多能工化が必要なのか

課題 多能工化による解決
人手不足・高齢化 少人数でもライン維持が可能に
変動する生産量 柔軟に人員シフトが可能
属人化・教育の遅れ スキルの共有・標準化が進む
有給・突発欠勤 リカバリー人材の確保が容易に

多能工化の進め方ステップ

  1. スキルマップの作成:各作業者がどの作業をどのレベルでできるかを一覧化
  2. 重点工程の選定:まずはボトルネックや繁忙工程から対象化
  3. 教育計画の策定:OJT+作業標準書をベースに段階育成
  4. 進捗管理・評価:スキルマップを更新し、習熟度を見える化
  5. ローテーション導入:スキル維持とマンネリ防止を両立

スキルマップの例

作業者名 組立 検査 梱包 設備操作
山田 ◎(指導可能) ○(実務可能) △(要指導)
佐藤 ×
鈴木 ×

→ ◎:指導可能、○:実務可能、△:補助可、×:未経験

多能工化でよくある失敗

  • 無理な短期育成:スキルは段階的に身につけるべき
  • 教育体制がない:OJTや標準書の整備が前提
  • 評価制度と連動していない:モチベーションが続かない

導入効果(定量事例)

  • 応援可能人員比率:15% → 60%へ改善(3ヶ月)
  • 繁忙時のライン停止ゼロ化(従来は月2~3回)
  • 新人定着率:教育の質が上がり半年離職率が30%→12%に改善

報酬制度・キャリア設計とセットで

多能工化は、単にスキルを増やすだけでなく、「多能であることが評価・報酬につながる」設計にすることで、現場の納得感が大きく変わります。

例:

  • ◎スキル数3以上 → 月額+5,000円
  • ◎5工程以上習得 → 多能工手当+10,000円

まとめ

多能工化は、現場の柔軟性と生産性を高め、属人化を打破する強力な施策です。ただし、闇雲に進めても成果は出ません。スキルの見える化 → 教育 → 評価の3ステップを繰り返し、現場主導で「育て・活かす」仕組みを築くことが成功の鍵です。

タイトルとURLをコピーしました