本記事では、総務省統計局の「労働力調査(2023年)」をもとに、都道府県ごとの製造業就業人口の最新ランキングを紹介し、地域別の傾向や製造業の労働力分布の実態を分析します。製造業が日本の地域経済や雇用に果たす役割を読み解き、今後の課題と展望を考察します。
都道府県別 製造業就業人口ランキング【2023年】
2023年における、各都道府県の製造業従事者数を比較したランキングは以下の通りです。これは「就業者全体に対する製造業の割合」ではなく、製造業就業人口そのものの規模を示しています。
順位 | 都道府県 | 製造業就業人口(人) | 全国シェア(%) |
---|---|---|---|
1位 | 愛知県 | 1,050,000 | 9.6% |
2位 | 大阪府 | 710,000 | 6.5% |
3位 | 神奈川県 | 590,000 | 5.4% |
4位 | 静岡県 | 560,000 | 5.1% |
5位 | 兵庫県 | 545,000 | 5.0% |
6位 | 埼玉県 | 530,000 | 4.8% |
7位 | 東京都 | 490,000 | 4.5% |
8位 | 福岡県 | 450,000 | 4.1% |
9位 | 北海道 | 420,000 | 3.8% |
10位 | 茨城県 | 400,000 | 3.7% |
出典:総務省統計局「労働力調査 2023年年平均」より(単位:千人未満四捨五入)
製造業就業人口の集中傾向
上位10県のうち、愛知・大阪・神奈川・静岡・兵庫といった工業都市圏に製造業就業人口が集中していることがわかります。特に愛知県は、トヨタを中心とした自動車産業の集積により、単独で全国の約10%を占めています。
一方で、東京都など大都市圏でも製造業の就業者数が多いのは、製品企画・技術開発部門の集中や、大規模事業所の存在が影響しています。
地域別の就業人口と工業分布の特徴
東海・近畿・関東といった主要経済圏に加え、地方圏では北関東(茨城・栃木・群馬)や九州北部(福岡・熊本など)でも製造業の就業人口が比較的多くなっています。これらの地域では、電機・化学・自動車関連などの工業団地や企業誘致が進められてきた背景があります。
一方、四国や中国地方の一部、東北地方の日本海側では、相対的に製造業人口は少ない傾向にあります。
製造業就業人口の推移と全体労働力に占める割合
日本全体の製造業従事者数は、2000年代初頭からは減少傾向でしたが、直近10年ではおおむね1,000万人前後で推移しています。2023年時点では約1,090万人(全就業者数の約16%)が製造業に従事しており、依然として日本最大規模の産業雇用部門のひとつです。
ただし、就業者の高齢化・若年層の製造業離れ・地方での人口流出などにより、将来的な人材不足は大きな懸念材料となっています。
地域課題と今後の展望
特に地方圏では、次のような課題が指摘されています:
- 若年労働力の確保が困難(都市部流出)
- 高齢化が加速し、技能継承に支障
- 交通・物流インフラが不十分で設備投資が進みにくい
- 女性・外国人労働力の活用不足
一方で、下記のような前向きな動きも見られます:
- スマートファクトリー化による省人化
- Uターン・Iターン就職促進策
- ノーコードアプリなどを活用した業務効率化
- 地域高専との連携による技術者育成
まとめ
- 製造業の就業人口は約1,090万人、全体の16%を占める
- 都道府県別では愛知・大阪・神奈川など都市圏に集中
- 地方圏では北関東・九州北部などが健闘
- 高齢化・若年層不足による地域格差の拡大が課題
- スマート化や地域教育との連携が今後のカギ
よくある質問(FAQ)
Q:このデータの出典はどこですか?
A:総務省統計局「労働力調査(2023年年平均)」を基にしています。
Q:なぜ愛知県が1位なのですか?
A:トヨタ自動車をはじめとする輸送用機器産業の集積が大きく影響しています。
Q:就業者にはパートや契約社員も含まれますか?
A:はい。労働力調査の定義では、週に1時間以上働くすべての就業者が含まれます。
Q:業種別の内訳は見られますか?
A:国勢調査や産業別統計により、地域別の製造業種構成(例:機械・化学など)は確認可能です。
Q:2024年の速報は出ていますか?
A:2024年版はまだ確報前のため、本記事では2023年年平均データを採用しています。