特殊産業用機械製造業

一般機械器具製造業

特殊産業用機械製造業の概要

特殊産業用機械製造業は、ある特定の産業分野で使用される機械を製造する産業のことを指します。たとえば、食品加工業界で使用される包装機や、医療産業で使用される検査機器などがこれに該当します。

このような機械は、一般的な機械とは異なり、その産業に特化した機能や仕様を持っていることが多く、高度な技術や専門知識を必要とします。また、製造プロセスや材料選定などにおいても、その産業の要求に応えるための独自の工夫や技術が必要となります。

特殊産業用機械製造業は、多くの場合、その産業のニーズに合わせてカスタマイズされた製品を提供することが求められます。そのため、製品の設計や製造にあたっては、その産業の専門家との密な連携や意見交換が必要とされます。

日本の特殊産業用機械製造業について

日本の特殊産業用機械製造業界は、高い技術力や品質、信頼性を持って世界的に高い評価を受けています。日本の製造業全体が、高度な技術や精度を要する製品を世界に供給する上で、欠かせない存在であり、特殊産業用機械製造業もその一角を担っています。

主な分野としては、食品加工機械、医療用機器、自動車・航空宇宙産業向けの生産設備、半導体製造装置、産業用ロボットなどが挙げられます。これらの分野において、日本企業は高い技術力と製品品質を誇り、世界的に競争力のある地位を維持しています。

また、日本企業は、特定の分野に特化した機械の製造において、世界でトップシェアを誇る企業が多く存在しています。このようなトップクラスの企業には、食品加工機械メーカーの山善株式会社や、産業用ロボットメーカーのファナック株式会社、半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン株式会社などがあります。

日本の特殊産業用機械製造業界は、高い品質と技術力を維持しながら、顧客のニーズに応える製品を提供することで、世界的な競争力を維持しています。

主な製品

特殊産業用機械製造業の主な製品には、以下のようなものがあります。

【食品加工機械】
食品を加工・調理するための機械で、例えば包装機、充填機、焼成機、スライサー、カッターなどがあります。

【医療用機器】
医療用の診断機器や治療機器で、例えばMRI、CT、X線撮影装置、超音波診断装置、人工透析機などがあります。

【半導体製造装置】
半導体の製造に使用される装置で、例えばエッチング装置、露光装置、プロセスガス供給装置、サーマル装置、洗浄装置などがあります。

【産業用ロボット】
工場や生産ラインで使用されるロボットで、例えば溶接ロボット、組み立てロボット、搬送ロボット、検査ロボットなどがあります。

【自動車・航空宇宙産業向けの生産設備】
自動車や航空機の生産に使用される設備で、例えば溶接機、塗装機、組み立てライン、精密加工機などがあります。

これらの製品は、その分野に特化した機能や性能を持ち、高度な技術力や専門知識を必要とすることが多いです。また、多くの場合、カスタマイズされた製品を提供する必要があるため、顧客との密なコミュニケーションや要件定義が重要となります。

製造工程

特殊産業用機械製造業の製造工程には、以下のような一般的な流れがあります。

  1. 設計
  2. 顧客の要望やニーズをヒアリングし、設計チームが製品の仕様や図面を作成します。この工程では、機械の機能や性能、制御システム、材料選定などが決定されます。

  3. 材料調達
  4. 製造に必要な部品や材料を調達します。この際には、品質や納期に注意が必要です。

  5. 切削加工
  6. 部品を作るための金属加工や成形加工が行われます。この際には、高度な技術と精密さが求められます。

  7. 組み立て
  8. 部品を組み立てて完成品を作り上げます。この際には、品質管理や作業手順の確立が必要です。

  9. 検査
  10. 完成品に対して検査を行い、品質の確認をします。この際には、各種測定器や試験機器が使われます。

  11. 出荷
  12. 完成品を梱包し、顧客への出荷が行われます。この際には、安全かつ確実な輸送方法を選定する必要があります。

特殊産業用機械製造業の製品は、高度な技術や専門知識が必要とされるため、上記の各工程において品質管理が重要となります。また、顧客との密なコミュニケーションも不可欠であり、顧客ニーズに対応するためには、柔軟な対応力が求められます。

国内データ

以下は、日本の特殊産業用機械製造業に関する国内データの一例です。

  • 生産額は、2020年度には約15兆円であったとされています。
  • (経済産業省「平成32年度版産業連関表」より)

  • 雇用者数は、2019年時点で約114万人であり、全産業のうちの約2.2%を占めています。
  • (総務省「第22回産業連関表」より)

  • 金属加工機械:2020年度の生産額は約1.5兆円
  • (日本金属加工機械工業会「金属加工機械市場動向調査報告書」より)

  • 半導体製造装置:2020年度の生産額は約1.7兆円
  • (経済産業省「平成32年度版産業連関表」より)

  • プラスチック加工機械:2020年度の生産額は約800億円
  • (日本プラスチック加工機械工業会「統計データ」より)

主な企業

日本の特殊産業用機械製造業の主な企業としては、以下のような企業が挙げられます。

  1. ファナック株式会社
  2. 産業用ロボット、数値制御装置などの製造・販売を手がける大手メーカー。

  3. 三菱電機株式会社
  4. 半導体製造装置、FAシステム、医療機器、エネルギー関連製品などを手がける総合電機メーカー。

  5. オムロン株式会社
  6. FA機器、電子部品、自動車部品、医療機器などを手がける総合電機メーカー。

  7. 日立製作所株式会社
  8. FA機器、医療機器、エネルギー関連製品、建設機械などを手がける総合電機メーカー。

  9. 岡本工作機械株式会社
  10. 研削盤、グラインダーなどの精密加工機器の製造・販売を手がけるメーカー。

  11. 東芝機械株式会社
  12. プラスチック射出成形機、金属加工機械、産業用ロボットなどの製造・販売を手がけるメーカー。

これらの企業は、高い技術力や品質を誇る製品を世界中に供給しており、日本の特殊産業用機械製造業界を代表する企業となっています。

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