無機化学工業品製造業の概要
無機化学工業品製造業とは、化学的に合成された無機物質から製造される製品を生産する産業のことを指します。無機化学工業品は、金属、無機酸、無機塩、ガラス、セラミックス、セメント、酸化物、塩化物、硫酸塩、リン酸塩などの製品が含まれます。
この産業は、建設、自動車、電子、農業、製紙、化粧品、医薬品、食品などの様々な産業に用途があります。例えば、セメントは建設業界で広く使用され、硝酸は農業において肥料の製造に使用されます。また、硫酸は自動車用バッテリーの製造に使用されます。
無機化学工業品製造業は、高度な技術と熟練した労働力を必要とする重要な産業であり、世界的には多くの国で発展しています。
日本の無機化学工業品製造業について
日本の無機化学工業品製造業界は、世界有数の規模と技術力を誇ります。主要な製品には、セメント、化学肥料、硫酸、アルミニウム、炭酸ソーダ、ガラス、セラミックスなどがあります。これらの製品は、建設、自動車、電子、農業、製紙、化粧品、医薬品、食品などの様々な産業で使用されています。
日本の無機化学工業品製造業界は、国内外で高い技術力と品質の評価を受けており、多くの大手メーカーが存在します。日本の無機化学工業品製造業界の主要な企業には、東ソー、三菱化学、旭化成、日本ガイシ、日立化成などがあります。これらの企業は、技術力と製品の品質を競い合い、常に革新的な製品開発に取り組んでいます。
また、日本の無機化学工業品製造業界は、環境に配慮した製品開発にも注力しています。例えば、セメントメーカーは、廃棄物やバイオマスなどを再利用して燃料として使用する技術を開発し、CO2排出量を削減する取り組みを行っています。
総じて言えることは、日本の無機化学工業品製造業界は、高い技術力、品質、環境配慮を兼ね備え、世界的な競争力を誇っています。
主な製品
無機化学工業品製造業の主な製品には以下のようなものがあります。
【セメント】
建設用の材料で、主に石灰石やシリカ、アルミナ、鉄鉱石などを原料としています。
【化学肥料】
植物の生育を促進するために使用される肥料で、主に窒素、リン、カリウムなどを含む無機物質から作られます。
【硫酸】
自動車用バッテリーや化学工業製品の製造に使用される化学物質で、硫黄鉱石を主原料としています。
【アルミニウム】
軽量で強度があり、熱や電気を良く伝導する金属で、飛行機、自動車、包装材料などの製造に使用されます。
【炭酸ソーダ】
洗剤やガラス、紙などの製造に使用される化学物質で、石灰石や塩などを原料としています。
【ガラス】
建築物や自動車の窓などの製造に使用される材料で、主にシリカを原料としています。
【セラミックス】
陶器、タイル、半導体、電子部品などの製造に使用される素材で、主に酸化アルミニウム、ケイ素、窒化珪素などを原料としています。
【リチウムイオン電池用材料】
スマートフォンや電気自動車などの電池の製造に使用される材料で、主にリチウムを含む無機化合物が用いられます。
以上が、無機化学工業品製造業の主な製品の例です。これらの製品は、私たちの日常生活に欠かせないものであり、様々な産業分野で使用されています。
製造工程
無機化学工業品製造業の製造工程は、製品によって異なりますが、一般的な流れを以下に示します。
- 原料の調達
- 原料の前処理
- 反応処理
- 精製処理
- 製品の加工
- 包装
- 廃棄物処理
製品の原料となる化学物質や鉱石などを調達します。
原料を粉砕し、必要な大きさに分類します。また、必要な場合は脱水や乾燥、焼成などの処理を行います。
原料を混合し、化学反応を起こして製品を生成します。反応のために熱を加えたり、触媒を使ったりする場合もあります。
製品から不純物を除去し、純度を高めます。フィルタリングや蒸留、クロマトグラフィーなどの方法が使われます。
製品を所定の形状に加工し、必要に応じて切削や研磨などの処理を行います。
製品を適切な容器に詰めて出荷します。製品によっては、密閉容器に入れる必要があります。
製造過程で発生した廃棄物や排水などを処理します。適切な処理をしないと環境汚染や健康被害のリスクがあります。
以上が、一般的な無機化学工業品製造業の製造工程の例です。ただし、製品によっては、さらに複雑な工程が必要な場合もあります。
国内データ
以下は、日本の無機化学工業品製造業に関するデータです。
- 生産額
- 従業員数
- 主要製品別生産量(2019年)
- 主要輸出先国(2020年)
2021年の生産額は約9,498億円と推定されています。
(出典:経済産業省「平成30年度化学工業生産動態統計調査」)
2021年の従業員数は約5.5万人と推定されています。
(出典:経済産業省「平成30年度化学工業生産動態統計調査」)
硝酸:約2,559千トン
塩酸:約1,767千トン
硫酸:約1,212千トン
炭酸ナトリウム:約1,046千トン
アンモニア:約817千トン
炭酸カルシウム:約757千トン
カーバイド:約363千トン
酸化マグネシウム:約295千トン
炭酸マグネシウム:約98千トン
その他:約1,202千トン
(出典:経済産業省「平成31年度産業連関表」)
中国:約3,837億円
韓国:約1,040億円
台湾:約904億円
インド:約727億円
タイ:約438億円
(出典:財務省「貿易統計」)
以上が、日本の無機化学工業品製造業に関するデータの一部です。
主な企業
日本の無機化学工業品製造業の主な企業には、以下のようなものがあります。
- 旭化成
- 三菱マテリアル
- 住友化学
- 積水化学工業
- 日本曹達
- 東ソー
ポリビニルアルコール、アクリル酸エステルなどの製造で知られる企業ですが、硫酸や塩化水素などの無機化学工業品も製造しています。
アルミニウム、銅、亜鉛などの金属材料のほか、硫酸、炭酸カルシウムなどの無機化学工業品も製造しています。
塩酸、アンモニア、カーバイド、炭酸ナトリウムなどの無機化学工業品を製造しています。
硝酸、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの無機化学工業品を製造しています。
硫酸、塩酸、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの無機化学工業品を製造しています。
酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウムなどの無機化学工業品を製造しています。
以上が、無機化学工業品製造業の主な企業の一例です。