木製容器製造業の概要
木製容器製造業は、木材を使って箱や樽、パレットなどの容器を製造する産業です。これらの容器は、食品、飲料、農産物、建材、家具などの様々な製品の運搬や保管に使用されます。
木製容器製造業は、手工業的な製造方法から機械化された大量生産に移行し、現代的な設備や技術が導入されています。木製容器は、環境にやさしく、リサイクルや再利用がしやすいため、環境に配慮した製品としても注目されています。
日本の木製容器製造業について
日本の木製容器製造業界は、歴史が古く、伝統的な技術や製品を持つ産業です。主な製品としては、樽、箱、パレット、クレート、かごなどがあります。これらの製品は、食品や飲料、農産物、化学製品、医薬品、家具、建材などの様々な産業で使用されています。
日本の木製容器製造業界は、現代的な生産設備や技術を導入しつつも、伝統的な技術や品質にこだわり、高品質で美しい仕上がりの製品を生産しています。また、環境に配慮した製品として、リサイクル性や再利用性が高い製品を開発し、需要を拡大しています。
ただし、近年はプラスチック容器の普及により需要が減少しているという課題もあります。そこで、木製容器の環境性や持続性をアピールすることで需要の回復を図る動きも見られます。
主な製品
木製容器製造業の主な製品は以下の通りです。
【樽(たる)】
酒造業や調味料、醤油、味噌、酢などの製造業界で使用される。樫の木材を使用することが多い。
【箱(はこ)】
食品や化学製品、農産物、家具、建材などの様々な製品の運搬や保管に使用される。
【パレット(ぱれっと)】
物流業界で使用される。荷物を積み重ねるための台。荷台と呼ばれる底板と、その四方に取り付けられた荷上げ用の足(ランナー)からなる。
【クレート】
野菜や果物、花などの農産物や魚介類、肉類などの食品を運搬するために使用される。
【かご】
釣り具店や果物店などで使用される。竹やヤシの実、ワイヤーなどを使った製品がある。
【パック箱(パックばこ)】
果物や野菜、海産物などの小売店での販売用に使用される。引き出し式で、上部の蓋を開けることで中身を取り出すことができる。
【バケツ(桶・おけ)
建材業界で使用される。セメントや石膏などの混合物を運搬するために使用される。また、家庭での清掃や水運搬用の製品もある。
製造工程
木製容器製造業の製造工程は以下のようになります。
- 材料の選定
- 切削・加工
- 組み立て
- 仕上げ
- 検査
- 出荷
製品に合わせて適切な木材を選定する。木材の種類や特性によって、製品の耐久性や見た目が変わるため、選定が重要である。
木材を加工するために、まず必要な形に切削する。電動ノコギリや旋盤、ルーターなどの工具を使って、必要な寸法や形状に加工する。
切削された木材を接着剤や釘、金属の環などで組み立てる。箱や樽などの製品は、板をカットしてパーツを作り、そのパーツを組み合わせることで作られる。
製品の表面にヤスリをかけて、滑らかな仕上がりにする。さらに、塗装や染色、ロゴの印刷などを施して、製品の見た目を整える。
製品の品質を確認するために、検査が行われる。製品には、耐久性、強度、サイズ、外観の美しさなどの基準があるため、それらに合格するかどうかを検査する。
製品が基準に合格した場合、出荷される。製品によっては、輸送の際に梱包する必要があるため、梱包作業も行われる。
国内データ
2021年時点での日本の木製容器製造業のデータを以下にまとめます。
- 木製容器製造業の生産額: 1,265億円(2020年)
- 木製容器製造業の事業所数: 1,381事業所(2019年)
- 木製容器製造業の従業員数: 11,834人(2019年)
- 主要製品の生産量(2019年)
樽: 327,000個
箱: 20,322,000個
パレット: 4,748,000個
クレート: 1,288,000個
なお、木製容器製造業は、近年では環境保護意識の高まりから、再利用やリサイクルに配慮した製品の需要が増えています。また、伝統的な技術や製品へのこだわりを持つ職人も多く存在し、高品質な木製容器の製造に取り組んでいます。
主な企業
日本の木製容器製造業界には、大手企業から中小企業までさまざまな企業が存在しています。以下に、代表的な企業をいくつか挙げます。
- 株式会社木研工芸(東京都練馬区)
- 株式会社山口製缶所(山口県下関市)
- 株式会社ヤマダ(兵庫県神戸市)
- 株式会社カシオ(長崎県佐世保市)
- 株式会社キクカワ(愛知県豊田市)
- 株式会社マルヤマ木工(愛知県豊川市)
なお、これらの企業は木製容器だけでなく、パレットやユニットハウス、住宅部材などの木製品も製造している場合があります。