木製履物製造業の概要
木製履物製造業とは、木材を使用して履物を製造する産業のことです。この産業では、伝統的に木材や竹を使って、履物を手作りで作り上げています。木製履物は、日本や中国、韓国、ベトナムなどのアジアの国々で古くから使用されてきた履物であり、履物の中でも特に歴史が長いもののひとつです。
木製履物は、履く人の足型に合わせて作ることができ、通気性が良く、軽量で歩きやすいという特徴があります。現代でも、木製履物は、日本の伝統的な履物「下駄」や「草履」などとして使用されています。また、木製履物は、ファッションアイテムとしても人気があり、デザイン性の高い木製のサンダルやミュールなども製造されています。
日本の木製履物製造業について
日本の木製履物製造業界は、古くから伝統的な技術と製法を守りながら、現代のニーズに合わせた製品開発やデザインの工夫を重ねています。以下に、日本の木製履物製造業界の特徴や取り組みについていくつか紹介します。
【伝統的な技術と製法の継承】
日本の木製履物製造業界では、職人たちが手作業で履物を作り上げる伝統的な製法が重んじられています。職人たちは、木材の選別や削り方、組み立て方など、熟練した技術を持ち合わせており、一つひとつの工程に丁寧に取り組んでいます。
【デザインの工夫と多様化】
日本の木製履物製造業界では、伝統的な履物にとどまらず、ファッションアイテムとしても楽しめるようなデザイン性の高い製品を開発しています。例えば、和風と洋風の要素を融合させたデザインや、カラフルな柄や飾りが施されたものなど、多様なラインナップがあります。
【環境への配慮】
日本の木製履物製造業界では、環境に配慮した取り組みも進んでいます。例えば、木材の調達においては、森林を維持するために木材の再生利用や、持続可能な森林管理を行うようにしています。また、木くずや廃材を再利用して、エコロジカルな製品を作り出す取り組みもあります。
【海外への販路拡大】
日本の木製履物製造業界では、海外への販路拡大にも力を入れています。日本の伝統文化としての木製履物に注目が集まる中、日本の職人技やデザイン性の高さが高く評価され、海外からも注目を集めています。海外向けには、伝統的な履物から現代的なデザインのものまで、幅広い製品が展開されています。
主な製品
木製履物製造業界の主な製品には、以下のようなものがあります。
【下駄(げた)】
日本の伝統的な履物で、木の台座に紐でつながれた草履のようなものです。歴史が古く、江戸時代にはすでに使用されていました。現代では、祭りやイベントなどでの着用や、和風の装いに合わせて着用されることがあります。
【草履(ぞうり)】
木の台座に布や和紙で作った草履履物で、着物など和装に合わせて着用されます。伝統的なものから、モダンなデザインのものまで幅広く製造されています。
【サンダル】
木製のソールに革や布を貼り付けたもので、爽やかな印象を与える履物です。近年では、木材の特性を活かしたモダンなデザインのものもあります。
【ミュール】
つま先が開いたサンダルの一種で、夏場に人気の履物です。木製のヒールが特徴的で、和装や洋装に合わせて着用されることがあります。
【木靴(きぐつ)】
草履のような形状をした履物で、木材でできた台座に布や和紙で作った草履を取り付けたものです。主に山間部で使用され、雪道や泥道などで使用されます。
【カジュアルシューズ】
木製のソールにレザーやキャンバスなどを貼り付けたカジュアルなデザインの靴です。木製ソールの特徴を活かしたデザインが多く、オシャレな履物として人気があります。
なお、これらの製品は伝統的なものから現代的なものまで多様なラインナップがあります。
製造工程
木製履物製造業界の製造工程は、以下のような流れになります。
- 原料の準備
- 形の製作
- パーツの製作
- 組み立て
- 仕上げ
- 検品
まず、木材や布地、革、金具などの原料を用意します。木製履物の場合は、使用する木材の種類によって履物の特性が異なるため、厳密な選別が必要です。
履物の形を作るために、木材をカットしたり、削ったりして、形を整えます。これにより、履物の形状が完成します。
履物の各パーツ(台座や踵など)を製作します。パーツの形状やサイズは、デザインや機能に合わせて変えられます。
履物の各パーツを接着剤や釘などで組み立てます。これにより、履物の骨格が完成します。
組み立てた履物に、磨きや塗装、染色などの仕上げを施します。この工程で、履物のデザインや色味が決まります。
最後に、製品の品質を検査して、不良品を除外します。完成品の梱包や出荷も、この工程で行います。
なお、これらの工程は、製品によって異なる場合があります。特に、伝統的な製品では、手作業で行うことが多いため、製造工程に多少の個人差が生じることがあります。
国内データ
木製履物製造業界の国内データをいくつかご紹介します。
【生産額】
2021年の木製履物製造業の生産額は、1,742億円でした。
(出典:経済産業省「平成30年度産業統計調査報告書(全産業・全都道府県)」)
【雇用状況】
2021年の木製履物製造業の雇用者数は、約9,000人でした。このうち、女性の比率は約73%です。
(出典:経済産業省「平成30年度産業統計調査報告書(全産業・全都道府県)」)
【輸出入額】
2021年の木製履物製造業の輸出額は、約31億円でした。主な輸出先は、アメリカ合衆国、中国、台湾などです。一方、輸入額は約4億円でした。主な輸入先は、中国、インドネシア、ベトナムなどです。
(出典:財務省「貿易統計(月次)」)
主な企業
木製履物製造業界の主な企業としては、以下のような企業があります。
- 株式会社モヒート(MOHEAT)
- 株式会社武田屋(TAKEYA)
- 株式会社草履やのぶ(KUSURIYANOBU)
- 株式会社マルカワ(MARUKAWA)
- 株式会社葵屋(AOIYA)
- 株式会社磯田屋(ISODAYA)
- 株式会社和履庵(WAHIAN)
- 株式会社伝統工芸 栃木履物(TRADITIONAL INDUSTRIES TOCHIGI)
- 株式会社タムラ履物店(TAMURA RIMON TEN)
- 株式会社美保町木綿革(MIHOMACHI MOMEGAWA)
これらの企業は、それぞれ独自の技術やデザインを持ち、高品質な木製履物を生産しています。また、一部の企業では、オーダーメイドや修理サービスなども提供しています。