強化プラスチック製造業

プラ製品製造業

強化プラスチック製造業の概要

強化プラスチック製造業は、プラスチックを強化するために異なる素材を使用することによって、プラスチック製品の耐久性、強度、剛性、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性などを向上させる産業分野です。

強化プラスチックは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、天然繊維などの繊維をプラスチックに混ぜることで製造されます。強化プラスチックは、自動車、航空宇宙、建築、スポーツ用品、医療機器、電子機器、輸送用機器などの広範な産業分野で使用されています。

強化プラスチックは、金属やガラスなどの伝統的な素材に比べて軽量であり、耐久性が高く、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性、電気的性質などの優れた特性を持っています。これらの特性により、強化プラスチックは、さまざまな製品に使用され、高度な技術と製造プロセスにより、非常に高品質な製品が製造されます。

日本の強化プラスチック製造業について

日本の強化プラスチック製造業界は、世界的に見ても非常に競争力があり、高品質で信頼性の高い製品を供給しています。特に自動車産業、航空宇宙産業、建築産業、スポーツ用品産業などの分野で、多様な需要に対応しています。

日本の強化プラスチック製造業界は、高度な技術を持つ多数の企業が存在しており、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)など、多種多様な製品を開発しています。例えば、トヨタ自動車や日産自動車などの自動車メーカーは、高強度かつ軽量なCFRPを使用した車体の開発を進めています。

また、日本の強化プラスチック製造業界は、環境に配慮した製品の開発にも力を入れており、再生可能素材を使用することで、循環型社会の実現に貢献しています。

日本の強化プラスチック製造業界は、技術革新や需要の変化に迅速に対応し、世界的なリーダーとしての地位を維持しています。

主な製品

強化プラスチック製造業の主な製品には、以下のようなものがあります。

【自動車部品】
自動車のボンネット、ドア、トランク、エンジンルームのカバーなど。

【航空宇宙部品】
航空機の構造部品、燃料タンク、複合材料製の主翼、尾翼など。

【建築部品】
橋の補強材、防音・断熱材、屋根材、窓枠・窓のフレームなど。

【スポーツ用品】
自転車フレーム、ゴルフクラブ、釣竿、テニスラケットなど。

【医療機器】
人工関節、歯科用補綴材、手術器具など。

【電子機器】
携帯電話、ノートパソコン、スマートフォンなどの筐体、液晶ディスプレイなど。

これらの製品は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)、天然繊維強化プラスチックなど、異なる種類の強化プラスチックを使用して製造されます。強化プラスチックは、軽量かつ高強度であり、耐久性や耐熱性、耐薬品性などの特性があり、多様な産業分野で広く利用されています。

製造工程

強化プラスチック製造業の製造工程は、以下のような流れで行われます。

  1. 材料の選定
  2. 製品の要求仕様に合わせて、強化プラスチックの種類や繊維の方向性、樹脂の種類などを選定します。

  3. 繊維の裁断
  4. 選定した繊維を必要なサイズに裁断します。

  5. 繊維の配置
  6. 裁断された繊維を金型に配置し、設計通りに繊維の方向性を調整します。

  7. 樹脂の注入
  8. 繊維の配置が完了した金型に樹脂を注入します。注入には、真空注型法、圧縮成形法、射出成形法などがあります。

  9. 加圧・加熱
  10. 樹脂を注入した金型を加圧し、加熱します。これにより、繊維と樹脂が固着し、製品が形成されます。

  11. 仕上げ
  12. 金型から取り出した製品を必要に応じて切削加工や研磨などの工程で仕上げます。

  13. 品質検査
  14. 製品の外観や寸法、物性などを検査し、要求仕様に合致しているかを確認します。

上記のような工程を踏んで、高品質な強化プラスチック製品が製造されます。

国内データ

強化プラスチック製造業の国内データをいくつか紹介します。

  • 生産額
  • 2019年の強化プラスチック製品の生産額は、2兆9,024億円でした。
    (経済産業省「産業連関表(平成31年)」より)

  • 輸出額
  • 2021年1月から11月までの強化プラスチック製品の輸出額は、1,027億円でした。
    (財務省「貿易統計」より)

  • 従業員数
  • 2018年時点での強化プラスチック製品の製造業者数は、約4,000社で、従業員数は約29万人でした。
    (経済産業省「平成30年度設備投資動向調査」より)

  • 主要な生産品目
  • 2019年の強化プラスチック製品の主要な生産品目は、自動車部品が約38%、航空宇宙部品が約16%、建築部品が約10%、スポーツ用品が約9%、その他が約27%でした。
    (経済産業省「産業連関表(平成31年)」より)

  • 技術革新
  • 国内の強化プラスチック製造業では、繊維強化プラスチック(FRP)の高強度化、軽量化、コストダウンを目的に、繊維配向技術や自動化技術の導入、複合材料の高度化など、技術革新が進んでいます。

以上のようなデータからも、強化プラスチック製造業が日本の産業分野で重要な役割を果たしていることが分かります。

主な企業

強化プラスチック製造業の主な企業には、以下のような企業があります。

  1. トヨタ自動車
  2. 自動車部品の強化プラスチック製造に力を入れています。

  3. 三菱化学
  4. 繊維強化プラスチック(FRP)などの製造・販売を手掛けています。

  5. 日立化成
  6. 自動車部品や航空宇宙部品の強化プラスチック製造に力を入れています。

  7. 東レ
  8. 繊維強化プラスチック(FRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の製造・販売を手掛けています。

  9. 旭化成
  10. 自動車部品や航空宇宙部品、建築部品などの強化プラスチック製造に力を入れています。

  11. 日本エアロスペース
  12. 航空宇宙部品の製造に特化した企業で、繊維強化プラスチック(FRP)を使用した製品を手掛けています。

これらの企業は、日本の強化プラスチック製造業界において主要な存在となっており、高品質な製品や技術力で世界的に競争力を持っています。

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