パルプ製造業

パルプ・紙・紙加工品製造業

パルプ製造業の概要

パルプ製造業は、木材や他の植物原料から紙やカードボードなどの製品を作る産業です。パルプ製造業は、世界中で広く行われており、林業と関連していることが多いです。

パルプの製造プロセスは、まず原料である木材を粉砕し、化学薬品や水と混ぜて溶液を作ります。次に、この溶液を炉で加熱し、パルプを作り出します。このパルプは、紙やカードボードなどの製品に加工されます。

パルプ製造業は、多くの環境問題に関連しています。木材の供給源や森林管理、パルプの製造過程で使用される化学薬品やエネルギー消費、廃棄物の処理などが問題となっています。しかし、近年は、サステナビリティに配慮した取り組みが進んでおり、森林保護や環境負荷の削減などが進められています。

日本のパルプ製造業について

日本のパルプ製造業界は、世界有数の規模を誇っています。日本のパルプ・紙産業連合会によると、2019年の国内製造量は約3135万トンであり、世界で第3位の生産量を誇っています。また、日本のパルプ製造業界は、環境面でも高い評価を受けています。

日本のパルプ製造業界は、主に製紙会社が中心となっています。製紙会社は、パルプ製造とともに、製紙、加工、販売まで一貫して行っています。また、独立系のパルプメーカーも存在します。

日本のパルプ製造業界では、紙やパルプの需要に応じて、木材の調達や製造プロセスの改善に取り組んでいます。特に、環境保全に対する意識が高く、林業やパルプ製造において、持続可能な開発やCO2排出削減に取り組んでいます。また、地域に根ざした活動も積極的に行われており、森林保護や地域の産業振興などに力を入れています。

主な製品

パルプ製造業の主な製品には以下のようなものがあります。

【パルプ】
主に紙や板紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、紙コップ、紙皿などの製造に使用されます。

【紙】
新聞紙、コピー用紙、印刷紙、パッケージ紙、ラベル紙、壁紙などの製造に使用されます。

【ボード】
紙パルプを加工して作られる、厚紙板や段ボールなどの製品です。段ボールは、包装資材や移動用箱、運搬用容器などとして広く使われています。

【セルロース】
紙パルプから抽出された原料で、食品や医薬品などの添加物、繊維製品や化粧品、合成樹脂などの原料として使われます。

【レーヨン】
紙パルプから作られる、合成繊維の一種で、衣料品や毛布、カーテンなどの製造に使用されます。

以上のように、パルプ製造業の製品は、私たちの生活に欠かせないものばかりです。

製造工程

パルプ製造業の製造工程には、以下のような工程が含まれます。

  1. 原料調達
  2. パルプ製造の原料となる木材を調達します。一般的には、針葉樹や広葉樹の木材を使用します。

  3. 木材の粉砕
  4. 調達した木材を破砕機などで細かく粉砕し、木材チップにします。

  5. 溶液の作成
  6. 木材チップを水や化学薬品と混ぜて溶液を作成します。溶液には、パルプの種類によってさまざまな化学薬品が使用されます。

  7. パルプの生成
  8. 溶液を加熱し、反応を促進することで、木材チップからパルプを生成します。この過程で、パルプが液状から固形に変化します。

  9. 洗浄
  10. パルプを水で洗浄し、化学薬品などの不純物を除去します。

  11. 濃縮
  12. 洗浄されたパルプを濃縮し、水分を除去します。

  13. 漂白
  14. パルプを漂白処理し、色を除去します。漂白には、塩素、塩素酸化物、オキシジェンなどが使用されます。

  15. 乾燥
  16. 漂白されたパルプを乾燥させます。乾燥方法には、太陽光や暖房器具を用いる方法や、高温・高圧のスチームを用いる方法があります。

  17. 加工
  18. 乾燥されたパルプを加工し、紙、板紙、パルプ板、化学パルプ、機械パルプなどの製品に加工します。

以上が、一般的なパルプ製造業の製造工程です。ただし、パルプの種類や製品の種類によって、製造工程は異なる場合があります。

国内データ

日本のパルプ製造業のデータを以下に示します。

  • 2019年の日本のパルプ製造業の生産量は、全体で約1,030万トンでした。
  • パルプ製造業の年間売上高は、約3兆円程度です。
  • パルプ製造業は、約2,000社が参入しています。
  • 主要な企業としては、日本製紙グループ、王子ホールディングス、大王製紙、南アルプスパルプなどがあります。
  • 日本のパルプ製造業は、国内需要だけでなく、世界中に輸出されています。特にアジア諸国や欧米諸国などが主要な輸出先です。
  • 紙の種類別に見ると、新聞用紙、印刷用紙、文具用紙などが主力商品となっています。
  • 近年は、環境保護の観点から再生紙を使った製品が増えています。

以上が、日本のパルプ製造業の主なデータです。

主な企業

世界的にも多くの大手企業が参入しているパルプ製造業ですが、日本国内における主な企業としては以下のような企業が挙げられます。

  1. 日本製紙グループ
  2. 日本最大手の製紙会社であり、製紙からパルプ、包装資材などの幅広い事業を展開しています。

  3. 王子ホールディングス
  4. 化学パルプや機械パルプなどを扱うパルプメーカーとして、日本国内外で事業を展開しています。

  5. 大王製紙
  6. 紙製品や木材加工品などを扱う企業で、機械パルプや熱帯木材なども製造しています。

  7. 南アルプスパルプ
  8. 化学パルプや熱帯木材、再生紙などを扱うパルプメーカーです。

  9. 中越パルプ工業
  10. 化学パルプや再生紙を主に扱っており、環境に配慮した事業展開をしています。

その他にも、木材メーカーが製造する化学パルプや、製紙メーカーが自社でパルプを製造するなど、業界全体で様々な企業がパルプ製造に携わっています。

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