製糸業の概要
製糸業とは、繊維（綿、麻、絹、羊毛、化学繊維など）を原料として、それらを紡績し、撚糸し、糸をつくる産業のことを指します。糸をつくることによって、織物や編物、縫製などに使われる糸がつくられます。
製糸業は、紡績技術の発展によって、工業化が進んだ産業のひとつであり、古くから存在しています。日本では、奈良時代にはすでに絹織物がつくられていましたが、近代に入り、綿糸や化学繊維の開発などによって、さらに製糸技術が進歩しました。現代では、世界中で様々な製糸技術が使われており、高度な自動化技術も導入されています。
日本の製糸業について
日本の製糸業界は、古くから続く歴史と先進的な技術力を持っています。日本の製糸業界は、綿糸、絹糸、化学繊維など、多様な種類の糸をつくっており、繊維産業全体を支える重要な産業のひとつです。
日本の製糸業界は、繊維産業の中でも、高い技術力と品質によって、世界的に評価されています。また、糸の細かさや強度、撚りなどにおいても、他国に比べて高いレベルを誇っています。
日本の製糸業界は、近年は、国内の需要が減少してきたことや、海外競合の厳しさなどの影響を受け、厳しい状況に置かれています。しかし、高付加価値の製品開発や環境負荷の低減など、新しい技術の導入や工夫を行うことによって、日本の製糸業界は未来に向けて発展していくことが期待されています。
主な製品
製糸業の主な製品は以下の通りです。
【綿糸】
綿花からつくられる糸で、柔らかく肌触りが良いため、衣料品や寝具などに広く使用されます。
【絹糸】蚕の繭からつくられる糸で、光沢があり、高級感があるため、和服や高級衣料品などに使用されます。
【毛糸】羊毛からつくられる糸で、保温性が高く、手編みのセーターや帽子、手袋などに使用されます。
【化学繊維】人工的につくられる繊維で、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどがあり、衣料品やインテリア用品、工業製品などに使用されます。
【特殊糸】繊維に機能性を付加した糸で、防炎性、防臭性、吸水性、伸縮性、耐久性などの特性を持っています。これらの糸は、スポーツウェア、医療用品、自動車用品、防護服、防災用品など、様々な分野で使用されています。
製糸業は、糸をつくる過程で、多くの工程があります。それぞれの工程において、繊維の種類や目的に応じて、糸の細かさや強度、撚り、風合いなどを調整しています。
製造工程
製糸業の製造工程は以下のようになります。
- 繊維の選別・清掃
- カード機による粗糸の製造
- スライバーによる細糸の製造
- ロータースピンドルによる撚糸の製造
- 染色・加工
- 検査・製品化
綿花や毛、絹繭などの原料繊維を、不純物を取り除き、均一な繊維に仕上げます。
繊維をカード機と呼ばれる機械で解繊し、均一な太さの糸をつくります。
カード機でつくられた粗糸をスライバーと呼ばれる機械で撚りながら細くしていきます。
スライバーでつくられた細糸をロータースピンドルと呼ばれる機械でさらに撚り上げて撚糸をつくります。
撚糸を染色や加工して、色・形・特性を整えます。
染色や加工が終わった撚糸を検査して、品質を確認し、製品化します。
以上が、製糸業の基本的な製造工程となります。繊維の種類や使用目的によって、工程の一部が異なる場合もあります。また、近年では、環境に優しい素材の使用や、省エネルギー化、生産効率化などの技術革新が進んでいます。
国内データ
製糸業の国内データは以下の通りです。
【生産額】
2021年度の生産額は約1兆3,510億円で、前年度比で約2.2%増加しています。
【従業員数】
2021年度の従業員数は約18,700人で、前年度比で約1.4%増加しています。
【生産量】
2021年度の生産量は、綿糸が約2,429トン、絹糸が約3,052トン、毛糸が約4,438トン、化学繊維が約314,872トンとなっています。
【輸出入額】
2021年度の製糸業の輸出入額は、輸出額が約227億円、輸入額が約1,167億円となっています。
【生産地域】
主要な生産地域は、岡山県、愛知県、群馬県、福井県などです。また、近年は、東南アジアや中国など海外に進出する企業も増加しています。
以上が、製糸業の国内データの一部となります。
主な企業
日本の製糸業界には多くの企業がありますが、主な企業としては以下のようなものがあります。
- 東レ株式会社
- 旭化成株式会社
- 日清紡ホールディングス株式会社
- 日東紡株式会社
- 安川ハスカーバーナ株式会社
- ユニチカ株式会社
- 日産化学工業株式会社
日本を代表する化学繊維メーカーであり、綿糸、絹糸、毛糸、化学繊維などの製造を行っています。
化学繊維メーカーであり、高機能素材やフィルム、合成繊維などを製造しています。
繊維メーカーであり、綿糸、化学繊維、不織布などを製造しています。
繊維メーカーであり、絹糸、化学繊維、不織布などを製造しています。
製糸機械メーカーであり、製糸工場向けの機械や設備を製造しています。
化学繊維メーカーであり、高機能素材や不織布、合成繊維などを製造しています。
化学繊維メーカーであり、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維を製造しています。
以上が、日本の製糸業界の主な企業の一部となります。
