糖類製造業の概要
糖類製造業は砂糖やシロップ、グラニュー糖、ブラウンシュガー、果糖、マルトースなどの糖類を製造する産業のことを指します。
糖類製造業は、主に砂糖ビートやサトウキビなどの植物から糖を抽出して製造されます。
砂糖は食品、菓子、飲料、加工食品などの製造に広く使用されるため、糖類製造業は食品産業において重要な役割を果たしています。
また、最近では、代替甘味料の需要の増加に伴い、糖類製造業は新しい甘味料の開発にも注力しています。
日本の糖類製造業について
日本の糖類製造業界は、日本糖業協会によって代表されています。日本の糖類製造業界は、昭和初期に砂糖会社として始まり、現在では、糖類製造だけでなく、甘味料や農産物の販売なども行っています。
日本の糖類製造業界では、主にサトウキビと砂糖ビートから糖を生産しています。主要な糖製造メーカーには、日本製糖、不二製糖、大日本佐伯などがあります。これらの企業は、高度な技術力と生産能力を持っており、日本国内だけでなく、世界的にも競争力のある製品を供給しています。
また、最近では、糖質制限ダイエットの普及や、健康志向の高まりから、代替甘味料や低カロリーの砂糖などの新しい甘味料の開発に力を入れています。さらに、バイオマスからの糖類生産や、糖アルコールの製造など、糖類製造技術の多角化も進んでいます。
総じて言えることは、日本の糖類製造業界は、高度な技術力と生産能力を持ち、さまざまな課題に取り組みながら、常に進化し続けている産業であるといえます。
主な製品
糖類製造業の主な製品には以下のようなものがあります。
【砂糖】
砂糖は、サトウキビや砂糖ビートなどの植物から抽出された糖分を精製して作られる甘味料です。主に、グラニュー糖、粉糖、ブラウンシュガー、液体糖などがあります。
【シロップ】
シロップは、果糖やブドウ糖などの果物由来の糖分や、コーンスターチなどから抽出したデキストリンを加熱し、糖化したものです。主に、コーンシロップ、メープルシロップ、フルーツシロップなどがあります。
【飲料用甘味料】
砂糖やシロップの代替品として、人工甘味料や天然甘味料を使用した、低カロリーの甘味料があります。主に、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、ステビア、アガベシロップなどがあります。
【糖アルコール】
糖アルコールは、砂糖から作られる甘味料で、多くの場合、カロリーが低く、糖尿病患者やダイエット中の人にとって適しています。主に、キシリトール、エリスリトール、ソルビトールなどがあります。
これらの製品は、食品や菓子、飲料、加工食品など、さまざまな食品産業に使われています。
製造工程
糖類製造業の一般的な製造工程は以下の通りです。
- 原料の準備
- 糖液の抽出
- 糖液の精製
- 濃縮
- 結晶化
- 分離・乾燥
- 包装・出荷
サトウキビや砂糖ビートを収穫し、必要に応じて洗浄や粉砕などの前処理を行います。
原料を加熱して搾汁し、糖液を抽出します。この際、繊維や不純物を取り除くための濾過や沈殿、脱脂などが行われることもあります。
糖液に対して、酸やアルカリなどの薬剤を加えて精製処理を行います。これにより、糖分以外の不純物を取り除き、色やにおいを調整します。
精製された糖液を蒸発器にかけて濃縮します。この際、温度や圧力を調整することで、目的の濃度に合わせた製品を作り出します。
濃縮された糖液を冷却し、結晶化させます。この際、温度や撹拌の強さを調整することで、結晶の形状や大きさを調整します。
結晶化した糖を遠心分離機などで分離し、水分を除いて乾燥させます。この際、砂糖の形状やサイズを調整するために、圧力や温度を調整することもあります。
製品を検査し、適切な包装に詰めて出荷します。
糖類製造業では、製品の品質管理や衛生管理にも注意を払い、製造工程を改善することで、より高品質な製品を生産しています。
国内データ
日本の糖類製造業の国内データをいくつかご紹介します。
・2020年度の国内砂糖生産量は、およそ68万トンでした。
出典:農林水産省「平成30年度産糖類生産動態調査」
・2020年度の国内砂糖需要量は、およそ300万トンでした。
出典:日本砂糖業協会「砂糖白書2021」
・日本の砂糖市場において、2019年度の販売額は約1兆7,000億円でした。
出典:帝国データバンク「砂糖業界の市場動向」
・2020年現在、日本には4つの砂糖メーカーがあります。
出典:日本砂糖業協会「砂糖白書2021」
・2020年度の日本の砂糖の輸入量は、およそ140万トンでした。主要な輸入先はオーストラリア、ブラジル、タイなどです。
出典:日本砂糖業協会「砂糖白書2021」
・日本の砂糖消費量は、1人あたり年間約16kgです。
出典:農林水産省「平成30年度産糖類生産動態調査」
・日本では、砂糖だけでなく、シロップ、果糖、液糖、水飴、マルトデキストリンなどの糖類製品も生産されています。
出典:日本糖類工業協会「糖類の種類と用途」
主な企業
日本の糖類製造業の主な企業には以下のようなものがあります。
- 日本製糖株式会社
- サントリーフーズ株式会社
- 大日本糖化株式会社
- 伊藤忠食品株式会社
- 資生堂ヘルスケア株式会社
- 東洋糖化工業株式会社
- 信越化学工業株式会社
- 三菱商事株式会社
- 三井物産株式会社
- 丸紅株式会社
なお、日本砂糖業協会によると、日本の糖類製造業界は、2020年現在、日本製糖株式会社、大日本糖化株式会社、サントリーフーズ株式会社、伊藤忠食品株式会社の4社が生産しています。