ボトルネック工程とは?
ボトルネック工程とは、生産ライン全体の流れの中で処理能力が最も低く、全体の生産速度を制限している工程のことです。「ボトルのくびれ」が流れを制限する様子から、こう呼ばれます。
ボトルネックは生産能力・納期・在庫・品質すべてに影響を与えるため、継続的な監視と改善が必要です。
なぜボトルネックが問題になるのか
- 他工程が速くても、ボトルネックに引きずられて全体が遅くなる
- 仕掛品が滞留し、在庫が増加・スペースを圧迫
- 納期遅延や過剰人員配置の原因になる
ボトルネックの例
製造ライン | 工程 | 処理能力(個/時間) |
---|---|---|
電子部品組立 | 部品挿入 | 120 |
はんだ付け | 80(←ボトルネック) | |
検査 | 130 |
→ この場合、全体のスループットは80個/時間に制限されます。
ボトルネックの特定方法
- 各工程の処理能力(タクトタイム)を数値化
- 仕掛在庫が溜まっている箇所を観察
- 設備稼働率や稼働時間を分析
- 遅延や待ち時間が発生している場所を記録
改善アプローチ
手法 | 具体策 |
---|---|
工程改善 | 作業の標準化・段取り短縮 |
設備増強 | 機械の増設・自動化の導入 |
人員再配置 | ボトルネックに熟練者を集中 |
作業平準化 | 他工程と処理バランスをとる |
制約理論(TOC)とボトルネック
「制約理論(TOC:Theory of Constraints)」では、常に存在するボトルネックを特定し、そこを集中的に改善することが全体最適への第一歩とされています。
TOCでは以下のサイクルを繰り返します:
- 制約の特定
- 制約の活用
- 全体を制約に従属
- 制約の能力を高める
- 新たな制約を見つける
実態調査データ
2024年 日経モノづくりの調査によると、製造業の現場管理者の72%が「自社のボトルネック工程を把握している」と回答しています。
しかし、「適切な改善ができている」と答えたのはわずか36%に留まっており、改善には継続的な取組みが求められます。
まとめ
ボトルネック工程は、生産のスピード・品質・在庫・納期のあらゆる面に影響を与える重要な存在です。これを「見える化」し、改善していくことが、継続的な現場改善と競争力強化のカギとなります。