イロコ(Iroko)とは?製造業で使われる木材としての位置づけ
イロコは、アフリカの熱帯域に分布する広葉樹で、主に Milicia excelsa と Milicia regia が木材市場で同じ「Iroko(イロコ)」として流通します。耐久性と寸法安定性のバランスが良く、屋内外の部材に幅広く使われる実用材です。欧州では「African teak(アフリカンチーク)」の通称で呼ばれることもありますが、樹種としてのチーク(Tectona grandis)とは別物です。 :contentReference[oaicite:0]{index=0}
用途:建築・内装・床・屋外まで対応できる汎用材
イロコは、構造材寄りの強度と屋外耐久性が評価され、次のような用途で採用されます。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}
- 建築・造作:階段、ドア、枠材、羽目板、内外装の部材
- 床材:無垢フローリング、パーケット、化粧板
- 屋外:ガーデン家具、外部の造作、耐候性を活かす部位
- 水回り・耐薬品用途:タンクや実験台など(酸・アルカリに対する耐性が評価される場面)
- その他:彫刻、日用品、玩具、楽器など
色味と木目:黄褐色から深い褐色へ、表情は個体差が出やすい
心材は淡い黄系から始まり、光や経年で黄褐色〜緑がかった褐色、時にチョコレート色へ濃くなる傾向があります。辺材は黄白色で、心材との境界が比較的はっきり出ます。木理は交錯しやすく、杢感のあるまだら模様(mottled)として表情が出ることがあります。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}
硬さ・強度・重量の目安
イロコは中〜やや重めの広葉樹で、床や造作など「耐久性が欲しいが、極端に重硬材は避けたい」場面で検討されます。代表値の目安は次の通りです。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}
| 項目 | 目安(代表値) | 実務での見方 |
|---|---|---|
| 密度(12%含水率) | 550〜750 kg/m³ | 中重量帯。床材・造作で扱いやすい範囲 |
| Janka硬さ(サイド) | 4400〜5610 N | 擦れ・へこみに一定の強さが期待できる |
| Janka硬さ(エンド) | 5360〜6640 N | 端部の圧痕に対して比較的強い |
| 曲げ強さ(MOR) | 75〜156 N/mm² | 用途や材質ばらつきを見込み、安全率を確保 |
| ヤング率(MOE) | 8300〜13300 N/mm² | たわみ設計の目安に使える |
加工性:刃物摩耗と逆目対策が品質を左右する
イロコは「加工できるが、楽ではない」タイプの木材です。代表的な注意点を押さえると不良・手戻りを減らせます。
- 交錯木理により、プレーナー・ルーターで逆目や欠けが出やすい
- 産地・生育環境によっては木材内部に鉱物質の介在(例:炭酸カルシウムの栓状物)が見られ、刃物が摩耗しやすいことがある :contentReference[oaicite:4]{index=4}
- 下穴なしのビス打ちは割れ・ネジ切れの原因になりやすいので、下穴と適正トルク管理を基本にする
- 塗装は可能だが、仕上げ前の素地調整(研磨番手、脱脂、試し塗り)で色ムラを抑える
乾燥・寸法安定性:乾燥後の動きが小さく、現場向き
イロコは乾燥性が比較的良好で、乾燥後は使用時の動きが小さいとされます。屋内の床・建具・造作などで「季節変動による暴れ」を抑えたいときに適性があります。 :contentReference[oaicite:5]{index=5}
耐久性・屋外利用の考え方
イロコは耐久性が評価される一方、屋外での長寿命化は「納まり」と「仕上げ」で決まります。
- 雨水が溜まらない形状(端部の面取り、勾配、排水)
- 地面・水に触れ続ける条件は避け、必要に応じて金物で浮かせる
- 屋外は紫外線で退色しやすいため、意匠要件に応じて保護塗装とメンテ周期を設計に組み込む
産地・流通・サステナビリティ
Milicia excelsa は西アフリカから東アフリカ、南部アフリカにかけて広く分布し、国際流通材として取引されています。合法性確認や森林認証の有無、乾燥履歴、含水率の提示など、調達情報の粒度が品質とリスクを分けます。 :contentReference[oaicite:6]{index=6}
分類(科・属)
- 属:Milicia
- 科:クワ科(Moraceae) :contentReference[oaicite:7]{index=7}
メリット・デメリットまとめ
| メリット | デメリット/注意点 |
|---|---|
| 屋内外で使える耐久性と用途の広さ | 交錯木理で逆目・欠けが出やすい |
| 乾燥後の寸法安定性が期待できる | 鉱物質の介在などで刃物が傷みやすい場合がある :contentReference[oaicite:8]{index=8} |
| 床材・造作・家具まで一材で対応しやすい | 色味や表情の個体差が出るため、ロット選別が重要 |
よくある質問(Q&A)
Q1. イロコはチークの代わりになりますか?
A1. 性能面で「屋外にも使える」「寸法が安定しやすい」といった理由から、チーク代替として検討されることがあります。ただし樹種は別で、色味・油分・木目の出方、経年の見え方が異なるため、意匠要件とメンテ方針まで含めて比較するのが確実です。
Q2. 屋外デッキに使う場合のポイントは?
A2. 水が溜まらない納まり、地面からの離隔、端部処理(面取り)、保護塗装とメンテ周期の設計が重要です。木材の耐久性だけに頼るより、構造と運用で寿命を伸ばす考え方が向いています。
Q3. 加工時に欠けたり逆目になったりするのはなぜですか?
A3. イロコは木理が交錯しやすく、刃物の進行方向によって逆目が出やすい材です。切削条件の最適化、刃物の切れ味維持、仕上げ代の確保、工程内の試し加工が有効です。
Q4. 刃物の摩耗が早いと聞きました。本当ですか?
A4. 生育条件などにより木材内部に鉱物質の介在が見られる場合があり、刃物が摩耗しやすい要因になり得ます。量産加工では刃物材質の選定や交換サイクルの設計、検収時の外観・硬質物チェックが有効です。 :contentReference[oaicite:9]{index=9}
Q5. 仕入れ時に確認しておくと良い項目は?
A5. 代表的には、含水率、乾燥方法(天然乾燥・人工乾燥)、用途に対する厚みと木取り、色味の許容範囲、合法性確認(原産国情報・認証やトレーサビリティ)です。床や建具はロット差が出やすいため、事前のサンプル確認が有効です。

