コンタミネーション

コンタミネーションとは

コンタミネーション(Contamination、略してコンタミ)とは、製造工程や製品に異物・不純物・微生物・化学物質などが意図せず混入し、品質や安全性、歩留まりに悪影響を与える状態を指します。製造業では、外観不良や性能低下だけでなく、クレーム・回収・ライン停止につながるリスクがあるため、品質管理と現場改善の重要テーマとして扱われます。

なぜ製造業でコンタミ対策が重要なのか

  • 品質不良の増加:異物混入は不良率を押し上げ、歩留まりと生産性を下げる
  • 安全・規制リスク:食品、医薬品、化粧品、医療機器などでは健康被害や法規制に直結
  • 設備トラブル:粉じんや切粉が軸受・センサー・バルブに入り、故障や停止の原因になる
  • 顧客信頼の低下:原因究明と再発防止に時間がかかり、取引条件や監査にも影響する

コンタミネーションの主な種類

コンタミは「何が混入したか」で分類すると、対策の方向性が明確になります。

種類 具体例 影響が出やすい工程・製品
固体コンタミ(異物) 粉じん、金属片、切粉、樹脂片、毛髪、繊維くず、紙粉 組立、塗装、充填、包装、クリーン工程
液体コンタミ 油、切削液、洗浄液残渣、水分、指紋、薬品の飛沫 洗浄、表面処理、接着、塗装、検査
気体・揮発性コンタミ 溶剤蒸気、ガス、臭気成分、アウトガス 塗装、樹脂成形、電子部品、光学部品
生物コンタミ 細菌、真菌、カビ、バイオフィルム 食品、飲料、医薬品、化粧品、水系プロセス
交差汚染(クロスコンタミ) 原料の取り違い、アレルゲン混入、色移り、品種混在 多品種ライン、段取り替え工程、共用設備

コンタミが発生する主な原因

原因は単独ではなく、複数が重なって発生することが多いため、「人・設備・環境・材料・方法」で分解して見るのが有効です。

  • 人:手順逸脱、手袋や作業着の管理不足、持ち込み物(紙・私物)、清掃のばらつき
  • 設備:摩耗粉・発塵部品、シール劣化、潤滑漏れ、フィルター目詰まり、負圧漏れ
  • 環境:粉じんの滞留、気流設計不適合、温湿度管理不足、虫の侵入、静電気による付着
  • 原材料・容器:受入時の異物、梱包材の破片、保管中の吸湿・カビ、サプライヤ起因の混入
  • 方法(工程設計):動線の交差、区画分離不足、段取り替え手順不足、洗浄バリデーション不足

業種・工程別に違う「コンタミの出やすいポイント」

  • 機械加工:切粉、砥粒、切削液ミスト、研削スラッジ
  • 樹脂成形:ペレットの混入、再生材の混在、離型剤、アウトガス
  • 塗装:粉じん、シリコン系汚染、油分、ミスト、静電付着
  • 電子・光学:微粒子、イオン汚染、アウトガス、指紋、繊維くず
  • 食品・医薬・化粧品:微生物、交差汚染、異物(毛髪・樹脂片)、洗浄残渣

コンタミ対策の基本方針

対策は「入れない」「出さない」「広げない」「見逃さない」の4点で設計すると、現場に落ちやすくなります。

1) 入れない(侵入防止)

  • 入室ルールの統一:作業着、帽子、粘着ローラー、エアシャワーなどを工程に合わせて設定
  • 原材料・副資材の受入検査:異物、破袋、梱包破れ、ロット表示の確認
  • 保管環境の適正化:密閉、先入先出、温湿度、害虫対策

2) 出さない(発生源対策)

  • 発塵源の封じ込め:カバー、局所排気、集塵機、負圧化
  • 摩耗部品の予防交換:ベルト、ブラシ、シール、軸受、ガスケットなど
  • 潤滑・油脂の管理:使う場所と量を標準化し、漏れ・飛散を抑える

3) 広げない(拡散防止)

  • ゾーニング:汚染区域と清浄区域の区分、動線分離、物の受け渡しルール
  • 工程間の遮断:中間品のふた、搬送容器の統一、カバー搬送
  • 静電気対策:除電、帯電防止材、湿度管理で付着を減らす

4) 見逃さない(検出・監視)

  • 目視だけに頼らない:工程内検査、ふるい、フィルター、マグネットトラップなどを活用
  • 異物の見える化:発生場所・種類・頻度を記録し、再発防止に使う
  • 清掃品質の点検:清掃チェックシートと監査でばらつきを減らす

現場で使える「コンタミ予防のチェックリスト」

  • 清浄度が必要な工程は、作業区画と動線が分離できているか
  • 発塵・発粉の工程は、局所排気や集塵が有効に働いているか
  • 段取り替え時の清掃・洗浄手順は、誰がやっても同じ結果になるか
  • 作業者の持ち込み物(紙、段ボール、私物)ルールが守られているか
  • 保全計画に、フィルター交換やシール点検などの汚染起因項目が入っているか

よくある失敗パターンと改善のコツ

失敗パターン 起こりがちな問題 改善の方向性
清掃を気合いで回す 人によって品質が変動し、再発する 清掃手順の標準化、道具の統一、頻度の根拠化
最終検査に依存 不良流出は防げても歩留まりが悪化 工程内で止める設計、発生源対策の優先
異物の種類が特定できない 対策が的外れになりやすい サンプル回収、発生場所の絞り込み、再現条件の整理
ゾーニングが形だけ 動線が交差して交差汚染が起きる 人と物の流れを見直し、区画とルールをセットで運用

まとめ

コンタミネーションは、異物や汚染物質の混入によって品質・安全・生産性に大きな損失を生むリスクです。固体・液体・気体・生物・交差汚染といった種類を整理し、発生源を「人・設備・環境・材料・方法」で分解して対策することで、再発防止の精度が上がります。

効果的なコンタミ対策は、清掃の強化だけではなく、工程設計・ゾーニング・保全計画・検出の仕組みまで含めた全体最適が鍵になります。現場の実態に合わせて「入れない・出さない・広げない・見逃さない」を実装し、品質と生産性を同時に引き上げましょう。

よくある質問(Q&A)

Q1. コンタミと異物混入は同じ意味ですか?
A1. 近い意味ですが、異物混入は主に固体の混入を指すことが多い一方、コンタミは油分や水分、ガス、微生物、交差汚染なども含む広い概念です。
Q2. コンタミ対策で最初にやるべきことは何ですか?
A2. どの工程で何が混入しているかを整理し、発生源を絞り込むことが第一歩です。原因が曖昧なまま清掃や設備変更をしても効果が安定しにくくなります。
Q3. 交差汚染(クロスコンタミ)はどう防げますか?
A3. 人と物の動線分離、区画分け、容器の共用禁止、段取り替え手順の標準化が基本です。多品種ラインほど、ラベル・色分け・保管場所の固定が有効です。
Q4. 粉じんが多い現場で有効な対策はありますか?
A4. 発塵源の封じ込め(カバー化)と局所排気、集塵の強化が効果的です。あわせて清浄区域を負圧または正圧で管理し、拡散しにくい気流設計にすると改善しやすくなります。
Q5. コンタミを減らすと、どんなKPIが改善しやすいですか?
A5. 不良率、手直し工数、クレーム件数、ライン停止回数、清掃時間のばらつきなどが改善しやすい指標です。特に工程内で止められるようになると歩留まりと生産性が同時に上がりやすくなります。

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