タクトタイム

タクトタイムとは?

タクトタイム(Takt Time)とは、生産現場において「1個の製品を何秒(または分)で作るべきか」という目標時間を指します。顧客からの需要に応じて、生産リズムを一定に保つために用いられる重要な指標です。

語源はドイツ語の「Takt=拍子」から来ており、「生産のテンポ」を示す概念としてトヨタ生産方式(TPS)などでも重視されています。

タクトタイムの計算式

以下の式で算出されます:

タクトタイム(秒) = 稼働時間(秒) ÷ 顧客需要(個)
項目 内容
稼働時間 1日の総労働時間から休憩・ロス時間を除いた実作業時間
顧客需要 その日または一定期間内に必要な生産数量

具体例

たとえば、1日の稼働時間が7時間(25,200秒)、顧客からの注文が210個の場合:

タクトタイム = 25,200 ÷ 210 = 約120秒(=2分)

→ つまり、2分に1個のペースで生産すれば、顧客ニーズを満たせる計算になります。

サイクルタイムとの違い

サイクルタイムは実際に1つの製品を製造するのにかかった時間を指し、タクトタイムは「あるべき理想の時間」です。

指標 定義 目的
タクトタイム 需要に合わせた「理想のリズム」 過不足ない生産計画のため
サイクルタイム 実際の作業時間 改善・分析のため

現場改善における活用

  • タクトタイムに対してサイクルタイムが長い → 生産効率が悪い
  • タクトタイムに対してサイクルタイムが短い → 工程が余って無駄が発生

このギャップを可視化し、ラインバランシング(各工程への作業時間の均等配分)を行うことで、生産の最適化が可能になります。

統計データ:日本の製造現場の平均タクトタイム

業種によって差はありますが、経済産業省の調査によると、

  • 電子部品組立工場:30~60秒
  • 自動車製造:45~120秒
  • 食品包装工程:10~20秒

など、製品の種類・ライン方式に応じてタクトタイムは設計されています。

まとめ

タクトタイムは、「生産リズム」を設計するうえで不可欠な指標であり、適切に設計・管理することで、生産過剰や欠品といったロスを防ぎます。

他の指標(サイクルタイム・リードタイム)ともあわせて活用することで、現場改善の精度が飛躍的に向上します。

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