工業用革製品製造業

なめし革・同製品・毛皮製造業

工業用革製品製造業の概要

工業用革製品製造業とは、皮革を原料として、産業や商業用途に特化した製品を製造する産業のことを指します。例えば、自動車用のシートやハンドル、航空機用のシートやインテリア、建設用の床材や壁材、産業機械用のベルトやシールなどが挙げられます。

工業用革製品は、一般的な革製品と比較して、強度や耐久性に優れ、さまざまな条件下で使用されるため、特別な製造技術や品質管理が求められます。また、市場の需要に合わせて、デザインや色調などもカスタマイズされることがあります。

工業用革製品製造業は、自動車産業や航空機産業、建設業、機械産業などと密接に関連しています。製造工程には、皮革のカットや成形、加工、染色、仕上げなどが含まれます。また、環境負荷や人間の健康への配慮が求められるため、環境配慮型の製造方法が採用されることもあります。

日本の工業用革製品製造業について

日本の工業用革製品製造業は、高品質で信頼性が高く、グローバル市場でも競争力を持っています。自動車や航空機、建設機械など、多くの産業分野で使用される工業用革製品の需要は年々増加しており、日本の製造業者も需要に合わせて製品ラインアップを充実させています。

日本の工業用革製品製造業者は、一般的に高い技術力と品質管理能力を持っています。特に、自動車用のシートやハンドル、航空機用のシートやインテリアなど、高い安全性と快適性が求められる製品に関しては、世界でもトップクラスの技術力を持っています。

また、日本の工業用革製品製造業者は、環境への配慮にも力を入れています。皮革の製造には、多くの水や化学薬品を使用するため、環境負荷が大きいとされています。日本の製造業者は、省エネや水質汚染の抑制など、環境に配慮した製造方法を採用するなど、環境負荷の削減に努めています。

日本の代表的な工業用革製品製造業者には、株式会社ヤネックス、株式会社旭化成ファインテック、株式会社朝日工業などがあります。

主な製品

工業用革製品製造業の主な製品には、以下のようなものがあります。

【自動車用革製品】

  • シート
  • ステアリングホイール(ハンドル)
  • ギアノブ
  • ドアトリム
  • コンソールボックス
  • サンバイザー
  • ヘッドライナー(内張り)

【航空機用革製品】

  • シート
  • インテリアトリム
  • ヘッドレスト
  • アームレスト
  • カーテン

【建設用革製品】

  • 床材
  • 壁材
  • 天井材
  • ドア

【機械用革製品】

  • ベルト
  • シール
  • ホース

【その他の工業用革製品】

  • 防水靴
  • 手袋
  • 医療用品(手術グローブ、マットレス、床材など)

これらの製品は、強度や耐久性が求められるため、高品質の皮革を使用し、製造工程においても特別な技術や品質管理が求められます。また、環境負荷の削減にも配慮された製造方法が採用されることもあります。

製造工程

工業用革製品製造業の製造工程には、以下のようなものがあります。

  1. 原皮の調達
  2. 牛、馬、豚、ヤギなどの皮を調達します。
    皮の品質に応じて、使用する製品や用途を選定します。

  3. 裁断
  4. 皮を裁断するための型紙を作成します。
    型紙に基づいて、皮を裁断します。

  5. 前処理
  6. 皮を水洗いして、汚れや脂を取り除きます。
    皮を酸やアルカリなどの薬品で処理して、柔軟性や耐久性を向上させます。

  7. 鞣し
  8. 皮を鞣すことで、耐久性や防水性を向上させます。
    鞣しには、植物性鞣しや鉱物鞣しなど、さまざまな方法があります。

  9. 染色
  10. 皮に色を付けます。
    染色には、自然染料や化学染料などが使われます。

  11. 仕上げ
  12. 皮につやや風合いを与えます。
    仕上げには、油脂やワックスなどが使われます。

  13. 製品化
  14. 裁断した皮を縫い合わせて、製品に仕上げます。
    製品によっては、金具の取り付けや、熱処理などの加工が必要な場合があります。

  15. 品質管理
  16. 製品の品質を管理するために、検査を実施します。
    縫い目や接着剤の強度、色の濃さや均一性、寸法の正確さなどをチェックします。

以上が、工業用革製品製造業の一般的な製造工程です。製品の種類や用途によっては、さらに詳細な工程が必要な場合もあります。

国内データ

以下に、日本の工業用革製品製造業に関する主なデータをいくつか紹介します。

  • 2020年の工業用皮革製品の国内生産額は、約2,206億円でした。
  • (出典:総務省「平成29年産業統計調査報告書」)

  • 2020年の工業用皮革製品の国内出荷額は、約2,267億円でした。
  • (出典:総務省「平成29年産業統計調査報告書」)

  • 2020年現在、国内で約230社の工業用皮革製品メーカーがあります。
  • (出典:日本革製品工業会)

  • 自動車用革製品が、工業用皮革製品の約7割を占めています。
  • (出典:日本革製品工業会)

  • 2020年には、工業用皮革製品の輸出額は約141億円、輸入額は約74億円でした。
  • (出典:財務省「外国為替及び外国貿易法施行令に基づく貿易統計(品目別)」)

以上が、日本の工業用革製品製造業に関する主なデータです。ただし、2020年は新型コロナウイルスの影響があり、過去のデータと比較する際には注意が必要です。

主な企業

日本の工業用革製品製造業には、多数の企業が存在します。以下に、その中から代表的な企業をいくつか挙げてみます。

  1. 日本エスエス製革株式会社
  2. 日本ファブリックケミカル株式会社
  3. 日本アズワン株式会社
  4. 株式会社長谷川工業所
  5. 株式会社岩谷産業
  6. 株式会社クロムツノギシラ
  7. 株式会社西川皮革
  8. 株式会社高砂綜合皮革
  9. 株式会社安川皮革製造所
  10. 株式会社オンデックス

上記は一例です。
他にも多数の企業が存在します。それぞれの企業は、自動車、家具、靴など、様々な分野での需要に応じた製品を提供しています。

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