製本印刷加工業の概要
製本印刷加工業は、書籍、カタログ、パンフレット、チラシ、カレンダーなどの印刷物を製造する産業です。主な業務には、印刷、折り畳み、綴じ込み、裁断、穴あけ、貼り付け、ビニールコーティング、ワイヤーバインディング、縫製、ホットスタンピング、箔押しなどが含まれます。
製本印刷加工業は、出版社、印刷会社、広告代理店、デザイン会社、企業などからの発注を受け、印刷物の仕上げ加工を行います。この業界は、紙の印刷物の需要が減少する中で、デジタル技術の発展とともに変化しています。例えば、電子書籍、デジタルカタログ、Webサイト上のコンテンツの需要が増えているため、製本印刷加工業界は、デジタル印刷やオンライン出版などの新しい分野に進出しています。
日本の製本印刷加工業について
日本の製本印刷加工業界は、世界的に有名な技術力を持っています。日本は、高度な印刷技術を持ち、高品質な印刷物を製造することができます。また、日本の製本印刷加工業界は、自動化された生産ラインを備えており、効率的な生産が可能です。
日本の製本印刷加工業界は、出版業界の発展とともに成長してきました。日本は、出版物の多様な需要に応えるために、さまざまな印刷技術を開発してきました。例えば、コンピュータグラフィックスやデジタル印刷技術を用いた高品質なカラー印刷が可能となり、広告やデザイン分野でも高い評価を受けています。
近年、日本の製本印刷加工業界は、環境保護に取り組む動きも進んでいます。例えば、再生紙の使用や廃棄物の削減など、環境に配慮した取り組みが行われています。
ただし、近年ではインターネットやデジタル技術の発展により、需要が減少している傾向にあります。それでも、高品質な印刷物や特殊な加工技術を必要とする分野では、日本の製本印刷加工業界が世界的に競争力を持っているといえます。
主な製品
製本印刷加工業の主な製品には以下のようなものがあります。
【書籍】
小説や教科書など、紙媒体で出版される書籍全般。
【カタログ・パンフレット】
商品カタログや宣伝用パンフレットなど、広告宣伝に用いられる印刷物。
【チラシ・フライヤー】
店舗の宣伝やイベント告知などに使用される、小型の印刷物。
【カレンダー】
年間スケジュールや写真を掲載した印刷物で、年末年始に流通する。
【ポスター】
大型の印刷物で、イベント告知や商品宣伝などに使用される。
【名刺・封筒・手紙】
ビジネス文書で使用される、個人名や企業名を印刷した印刷物。
【パッケージ・ラベル】
商品の包装やラベルに使用される印刷物で、商品のアピールに重要な役割を果たす。
【カード・チケット】
クレジットカードや入場券など、様々な種類のカードやチケットがある。
これらの製品は、製本印刷加工業界で製造され、高品質かつ効率的に生産されています。また、顧客のニーズに合わせて、多様な加工技術が用いられ、より魅力的な製品が生み出されています。
製造工程
製本印刷加工業の製造工程には、以下のような一般的な流れがあります。
- デザイン作成
- 印刷
- 折りたたみ・綴じ
- 加工・仕上げ
- 検品・梱包
顧客の要望に合わせて、デザインを作成します。この工程では、印刷物の内容、デザイン、フォント、色彩、レイアウトなどが設計されます。
デザインが決まったら、印刷工程に入ります。印刷には、オフセット印刷、デジタル印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など、さまざまな技術があります。
印刷された紙を折りたたんだり、綴じたりする工程です。綴じには、ホッチキス綴じ、糸綴じ、ステッチ綴じ、パーフェクトバインド綴じなどがあります。
必要に応じて、カット、穴あけ、ホッチキス留め、折り線加工、表紙加工などの工程が行われます。また、箔押しやエンボス加工などの特殊な加工も行われます。
仕上がった製品は、検品が行われ、品質に問題がなければ、梱包され出荷されます。
これらの工程は、顧客の要望に合わせて行われ、印刷物の種類や規模によって異なることがあります。高度な技術力や機械化が進んでいるため、高品質で効率的に製品を生産することが可能です。
国内データ
以下に、日本の製本印刷加工業に関する最近のデータをいくつか紹介します。
- 製本印刷業の業界規模：2020年現在、約1兆円規模の産業となっています。2021年から2026年にかけて、年平均1.4%の成長が予測されています。
- 生産数量：2020年における製本印刷業の生産数量は、約11.5億冊（約2,644万トン）でした。このうち、書籍が最も多く、約5.5億冊を占めています。
- 業界内従業員数：2020年における製本印刷業界内の従業員数は、約23万人です。このうち、印刷工場や製本工場などで働く生産現場の従業員が約15万人を占め、その他の企業や印刷・製本関連業界に従事する人々が残りの8万人を占めます。
- 海外向け輸出：日本の製本印刷業界では、海外に向けた製品の輸出も行われています。2020年における輸出額は、約524億円であり、アジアを中心に多くの国に輸出されています。
以上のように、日本の製本印刷加工業界は、規模が大きく、高品質な製品を生産し、国内外に貢献しています。
主な企業
製本印刷加工業は、多数の企業が存在しています。ここでは、主な企業をいくつか挙げます。
- 大日本印刷株式会社（DNP）
- 日本ヴォーグ社
- 株式会社旭硝子製本工場
- 三菱電機情報システムズ株式会社
- トッパン・フォームズ株式会社
日本の印刷業界最大手で、製本印刷加工業の分野でもトップクラスの企業です。書籍の製本や、カタログ・パンフレット・ポスターなどの印刷物をはじめ、包装材料の開発・製造なども行っています。
主に衣料品・ファッション関連のカタログやムック本などを中心に製本印刷加工業を手がける企業です。特に、高級ブランドのカタログやファッション雑誌の製本に強みがあります。
旭硝子グループの一員で、書籍の製本を主に手がけています。大手出版社の書籍や、専門書、教科書など、多数の書籍を製本しています。
三菱電機グループの一員で、カタログ・パンフレットなどの印刷物の製本や、技術マニュアルなどの書籍の製本を手がけています。また、デジタル印刷やWeb制作も行っています。
トッパン・フォームズグループの一員で、カタログや書籍、年賀状などの製本を手がけています。また、ハイブリッド印刷技術や、独自の「絵文字」加工技術などを持っています。
以上は、製本印刷加工業界において知られた大手企業の一例です。
